練習ではすごくシュートが入るのに試合になると入らなかったり、ここぞという場面で入らない選手に向けて、原因と対策を考えてみました。
試合では、多かれ少なかれプレッシャーがかかります。特にフリースローなどのプレッシャーのかかる場面では、「ルーティン」(習慣)を作ることが大切になります。
フリースローのように試合が止まる場面では、ルーティンを作ることができますが、試合が動いている中で、一旦落ち着いてルーティンをやっているわけにはいきません。
そこで意識しなければならないのが「リズム」です。
「リズム」は動きのタイミングを整えるので、言わば動きの中において「ルーティン」と同じような効果があると思います。また、良いスポーツ選手はリズム感に優れていると言われます。本投稿では、「プレッシャー」と「リズム」について考えてみます。
練習では入るのに試合になると入らなくなる原因
試合でシュートが入らなくなる原因は、様々なプレッシャーのせいではないでしょうか。
- 相手や環境からの物理的なプレッシャー
- 緊張や不安や焦りなどネガティブな精神的なプレッシャー
- 期待や強い願望、どうしても決めたいといったポジティブな精神的なプレッシャー
なぜ、プレッシャーがかかるとシュートが入らなのか
なぜかプレッシャーがかかるとシュートは入りにくくなります。ですが、プレッシャーがかかる場面でも、平然と普段どおりのシュートを決められる選手もいます。
では、そういう選手と自分との違いは何でしょうか?
それは、プレッシャーのかかる場面で、普段どおりの動きができていないからではないでしょうか。
プレッシャーがかかる場面とは
無意識のレベルで、プレッシャーがかかると普段どおりの動きができなくなってしまいます。まずは、それを意識することから始めましょう。
- ディフェンダーが近づいてくると、早く打たなければという思いから、普段よりも早く動こうとします。
- 自信が無くてシュートを打つかどうか迷えば、ドリブルストップのタイミングがわずかに遅れ、練習どおりのタイミングでシュートが打てなくなります。
- 絶対に決めなければならない場面では、どうしても特に肩や腕に余計な力が入ります。動きがスムーズで無くなります。
つまり、こういう場面で普段どおりの動きができるようになることで、練習通りのパフォーマンスを試合でも発揮できるようになるはずです。
プレッシャーに強くなる方法
これらのことから、バスケにおいてプレッシャーに強くなるには、どうしたら良いかと考えてみると、
- フォームの固定(安定)
- 力を抜くこと(脱力)
- ルーティン(習慣)
この3つが重要になってくると思います。
とはいえ、力んでいる選手に力むなと言っても無駄だし、そもそも動きの中で「ルーティン」を作ることは不可能です。
そころで「リズム」を意識してみてほしいというわけです。練習で身体に刻み込んだ「リズム」を動きの中で再生することで、動きの中のシュートでも、常に一定の力加減、フォームやタイミングで打つことが可能になります。
「リズム」を意識する効果
- シュートが打てるディフェンスとの適切な距離感がわかる
おのずとそのスペースを作り出す技術を習得するのに役に立つ - ストップの時の足の運びが一定になる
足の幅、向きなど。たとえ理想のストップができず、ズレてしまったときにも修正力につながる - シュート前の最後のドリブルの強さが一定になる
ディップの位置や膝の曲げ方などの安定につながる - ディップの位置が一定になる
ディップの位置はそこからリリースまでのボールの動きの速度と角度に直接影響する - シュート前のドリブルのスピードやジャンプの高さが一定になる
ジャンプが流れてしまったり、高さが違ってしまうと、リリースのタイミングも複雑になる - ディップの位置あるいはシューティングテーブルで構えた位置からリリースまでの腕の運びと速度(リリースまでのボールの軌道)が一定になる
毎回違う軌道では、いくら指先の感覚が優れていてもそれを台無しにしてしまう
他の競技に学ぶプレッシャーの制御方法(おまけ)
オリンピック選手でもミニバスの選手でも、それがどんなスポーツであったとしても、スポーツ選手は全員プレッシャーと戦わなければなりません。
バスケも他のスポーツでもその点では変わりません。そこで他の競技でのルーティンやプレッシャーがかかるときの考え方などについて調べてみたので、ご参考までにどうぞ。
「ゴルフ」でのプレッシャー制御方法
狙った場所にボールをコントールする競技と言えば代表格はゴルフではないでしょうか。
ゴルフでプレッシャーに負けずに実力を発揮するために、よく言われることは、
まず、「ルーティン」です。これは比較的広く様々な競技で行う手法ですが、いつも決まった動作で構えて打つことで、余計な思考を排除し、日頃の練習通りの成果を発揮しやすくします。
「明日天気になあれ」というゴルフ漫画で、「チャーシューメン!」と言いながら打つシーンがあり、すごく有名になりましたが、あれも一種の「ルーティン」と言えます。
また、ゴルフでは、構えたとき、ピタッと止まっているようで、実は常にどこか動いています。ゴルフの構えでは、「止まらないこと」が重要と言われています。止まっていると、どんどん余計な力が入ってしまい(つまり力んでしまうということ)、スイングの再現性が損なわれるためです。
また、基本的に「全力でクラブは振りません。」当たり前ですが、全力でクラブを振るとボールは飛ぶかもしれません(力みを伴えば逆に飛ばない)が、コントロールが乱れるからです。
「野球の投手」のプレッシャー制御方法
野球の投手には、プレッシャーのかかる場面で制球力が乱れる選手と乱れない選手がいます。
野球ではよく「テンポよく投げろ」と言われます。打者に考えさせないとか、守備のリズムが良くなるとか様々な効果があるのですが、一番の目的は自分自身が気持ちの良いテンポをつくることで、「ルーティーン」化し、制球を安定させます。
それと、投手は「足腰を鍛えろ」と言われます。これは安定したフォームを手に入れて、制球力を高めえるためです。つまり、プレッシャーがかかる場面で、踏み込みが浅くなったり、軸がブレたりしないようにすることを意味します。
また、野球の投手も、ここぞという場面以外は「全力で投げません。」
「サッカーのPK」のプレッシャー制御方法
プレッシャーがかかるという意味ではサッカーのPKには強いプレッシャーがかかります。
なぜかというと、PKはキッカーが圧倒的に有利なため、シュートが入って当然と周囲から見られるからです。
また、プレッシャーという意味では実力がある選手ほど、より大切な場面でPKを任されることが多いため、実力がある選手ほど重要なPKを外してしまう傾向があるようです。
まず、「ルーティン」は他のスポーツと同じく大切だと言われています。助走距離やスピードなどを一定にして、キーパーの揺さぶりなどに動じないよう、余計な思考を排除します。
次に、打つコースをあらかじめ決めてシュートすることです。ゴールポストぎりぎりを突いた低く強いボールはわかっていても取れません。日頃練習しているキーパーが取りにくいコースに強く蹴ることに集中します。強く蹴りすぎるとボールが浮くなど狙ったコースには蹴られないため、少し抑えて蹴ることになります。
まとめ
どんなときでも、他人のリズムに合わせるのではなく、自分自身のリズムで動けるようになろう。
練習を重ねて、自分自身のリズムを身体に刻み込むことができれば、試合で本来のパフォーマンスが発揮できるはずです。