【怪我と介助のルール】~試合中の選手の介助はどこまで認められる?~

2022年ウィンターカップでは、桜花学園vs東海大付福岡の試合が自分の中ではベストゲームでした。

残り3.3秒の勝敗を分ける重要な3ポイントシュートの場面で、ルール上非常に参考になるシーンがありましたので、今回はその場面を考察する記事です。

ハイライト動画

【ウインターカップ2022】桜花学園(愛知) vs 東海大福岡(福岡) | 女子3回戦(2022.12.25)
YouTubeチャンネル「バスケットLIVE」より

気になる場面の考察

通常、フリースローを得た選手を交代させることはできませんが、残り3.3秒の場面、逆転バスカンフリースローの権利を得た東海大付福岡の選手が交代しました。

なぜフリースローする選手が交代したのでしょうか?

最後の大切なシュートだからフリースローが得意な選手に交代したというわけではなく、ルール(下記)に従った処置です。

このケースでは、東海大付福岡チームスタッフがコート内選手を介助したため、ルール上交代しなければならないということになります。

怪我をしたプレーヤーが速やかに(約15秒以内で)プレーを継続できない場合、手当てを受ける場合、あるいは自チームのヘッドコーチ、アシスタントコーチ、チームメンバー、チーム関係者のいずれかから何らかの介助を受けた場合、そのチームのコート上のプレーヤーの数が5人未満になってしまう場合を除いて、そのプレーヤーは交代をしなければならない。

引用元“2022 バスケットボール競技規則 (公益)日本バスケットボール協会 2022 年4 月1 日施行” 

関連するニュース記事

Yahoo!ニュース
Yahoo!ニュースは、新聞・通信社が配信するニュースのほか、映像、雑誌や個人の書き手が執筆する記事など多種多様なニュースを掲載しています。

試合中に選手が怪我したときのルールは?

選手交代しなければならない場面

  • 審判に許可を受けたチーム関係者またはドクターがコート内で介助を行った場合
  • 自チームベンチエリア内であっても、15秒以上の介助が必要な場合
  • 出血したり傷口が開いたりしている場合

選手交代しなくてよい場面

  • 自チームベンチエリア内で15秒以内の介助で済む場合
  • コート上の選手の数が5人未満になる場合

ルール解釈

基本的にコート内の人数が5人未満にならない限り、審判が怪我の疑いで試合を止めたり、ボールデット時に介助を認めたりするケースでは、一旦選手交代することになります。

交代しなくてもよいケースはルール上、選手自らが自チームベンチエリアに戻って、速やかに(15秒以内)にコート内に戻れる場合のみです。

まとめ

ルールでは以上のとおりですが、自らの身体の状態をうまく表現できない子供同士の試合は難しく、例えば、過呼吸や熱中症の疑いがある子をすぐに発見しなければならないし、突然泣き出してどこか痛いのか、ただ悔しいだけなのかわからない場面や、特に理由もなくベンチエリアに戻ってしまう子など、ルールに従った判断だけでは、子供の安全を守るどころか、試合を円滑に進めることも難しい場面に遭遇したりします。

ルールを守ることはもちろん大切ですが、ミニバスでは審判だけなく周囲の大人はバスケットボールのルールの範疇を超えた臨機応変な判断や処置が必要になると思います。

怪我と介助に関するルール

“2022 バスケットボール競技規則 (公益)日本バスケットボール協会 2022 年4 月1 日施行” より引用

第 5条プレーヤー:怪我と介助 (Players :I njury and assistance)

5-1   プレーヤーが怪我をした場合は、審判はゲームを止めることができる。

5-2   怪我が発生したときにボールがライブであれば、ボールをコントロールしているチームがショットを放つか、ボールのコントロールを失うか、ボールをコントロールしているチームがプレーをすることを控えるか、ボールがデッドになるまで、審判は笛を吹かない。怪我をしたプレーヤーの保護が必要な場合は、審判は速やかにゲームを止める。

5-3   怪我をしたプレーヤーが速やかに(約15秒以内で)プレーを継続できない場合、手当てを受ける場合、あるいは自チームのヘッドコーチ、アシスタントコーチ、チームメンバー、チーム関係者のいずれかから何らかの介助を受けた場合、そのチームのコート上のプレーヤーの数が5人未満になってしまう場合を除いて、そのプレーヤーは交代をしなければならない。

補足

「介助」とは、様子を見ることを含めて自チームのプレーヤーのためにチームベンチェリアを離れることをいう。ゲームの再開を滞らせない範囲で、コート内に入ることなく、自チームのチームベンチエリア付近にて、15秒以内で介助を終えることができる場合、その行為は「介助」に含まない。

5-4   ヘッドコーチ、アシスタントコーチ、交代要員、5個のファウルを宣せられたチームメンバー、チーム関係者は、審判が許可をしたときに限り、怪我をしたプレーヤーを介抱するためにコートに入ることができる。

5-5   ドクターの判断により怪我をしたプレーヤーが直ちに手当てを必要とする場合は、ドクターは審判の許可なしにコートに入ることができる。

5-6   ゲーム中に出血したり傷口が開いたりしているプレーヤーは、交代をしなければならない。そのプレーヤーは、出血が止まり開いている傷口が完全かつ安全に覆われた後でのみ、コートに戻ることができる。

5-7   怪我をしたプレーヤーや、出血したり傷口が開いたりしているプレーヤーが、どちらかのチームに認められたタイムアウト中に回復した場合、タイマーの交代のブザーの前であれば、そのプレーヤーはプレーを続行することができる。

補足

国内大会においては交代のブザーはスコアラーが鳴らす。怪我をしたプレーヤーの交代を知らせるためにスコアラーがブザーを鳴らすよりも前にタイムアウトが認められ、そのタイムアウトの間に手当てが終わった場合を指す。

5-8   ヘッドコーチによってゲームの最初に出場すると指定されたプレーヤー、あるいはフリースローの間に手当てを受けるプレーヤーが怪我をした場合は、交代をすることができる。この場合、相手チームも希望をすれば、同じ人数だけプレーヤーを交代することができる。

補足

怪我をしたプレーヤーに手当てを受けさせる場合は、フリースローの1本目のボールがフリースローシューターに与えられた後であっても、1本目と2本目のフリースローの間、あるいは2本目と3本目のフリースローの間に当該プレーヤーを交代させることができる。

/* */