※2023年4月23日:「2023 バスケットボール競技規則」対応
バスケでは最後の2分(L2M※)でルールが変わります。
- スローインの再開場所を選べる(ミニバスは対象外)
- シュートが決まったらゲームクロックを止める(ミニバスは対象外)
- シュートを決められた側は選手交代が認められる(ミニバスは一部対象外)
- タイムアウトが3回分残っていても、2回までしかとることができない(ミニバスは対象外)
- スローイン時のファウルが厳しくなる
この5つのルール変更について、競技規則の原文を見ながら解説します。
第4クォーター、各オーバータイムでゲームクロックが2:00 あるいはそれ以下の時間帯を表します。この時間帯では特別なルールが適用されますが、端的に表す日本語が無いため、たまに「L2M」という用語がルールを説明する資料などで使われます。
スローインの再開場所を選べる
4クォーターやOT(オーバータイム)の最後の2分でバックコートからのスローインを得た場合、タイムアウト後のスローインの場所を選ぶことができます。
- フロントコート(スローインライン)から再開する。ショットクロックは14秒リセット。(アウトオブバウンズ「継続」以外)
- バックコートのアウトオブバウンズから再開する。ショットクロックは24秒リセット。(アウトオブバウンズ「継続」以外)
17-2-4 第4クォーター、各オーバータイムでゲームクロックが2:00 あるいはそれ以下を表示しているとき、バックコートからスローインを与えられることになっているチームに認められたタイムアウトの後で、そのチームのヘッドコーチは、フロントコートのスローインラインからのスローインでゲームを再開するか、バックコートのゲームが止められた場所に最も近いアウトオブバウンズからのスローインでゲームを再開するかを選択することができる。
“2023 バスケットボール競技規則” 「公益財団法人日本バスケットボール協会(JBA)」より引用
シュートが決まったらゲームクロックを止める
ゲームクロックが止まるため、シュートを決められたチーム側はタイムアウトや選手交代ができます。
試合終了間際のシュート後のスローインのとき、負けているチームができるだけ長い時間ボールに触らないように、バックコートを進む姿を見たことがあると思います。これはボールを保持するまでゲームクロックがはじまらないことを利用して、時間を節約するためです。
49-2 タイマーは、次のように競技時間をはかる:
“2023 バスケットボール競技規則” 「公益財団法人日本バスケットボール協会(JBA)」より引用
~中略~
・次の瞬間にゲームクロックを止める。
~中略~
−第4クォーター、各オーバータイムの2:00 あるいはそれ以下を表示している場合、ゴールが成功したとき。
【補足】ここでの「ゴール」とは、ゲームクロックが動いていて、ボールがライブの状態でのショットのゴールを指す。
シュートを決められた側は選手交代が認められる
通常はシュートが決められてもボールがデッドにならないため、選手交代は認められませんが、L2Mではゲームクロックが止まるため、シュートが決まったときボールがデッドになります。
つまり、L2Mでは得点されたチームは選手交代をすることができます。
得点したチームは選手交代できませんが、得点されたチームが選手交代をするのであれば、得点したチーム側も選手交代を認められます。
19-2-2 「交代が認められる時機」は、次のときに始まる:
“2023 バスケットボール競技規則” 「公益財団法人日本バスケットボール協会(JBA)」より引用
~中略~
・第4クォーター、各オーバータイムでゲームクロックが2:00 あるいはそれ以下を表示していて相手チームがフィールドゴールで得点したとき(得点されたチームは交代することができる)。
~中略~
19-2-5 第4クォーター、各オーバータイムでゲームクロックが2:00 あるいはそれ以下を表示していてゴールが成功してゲームクロックが止められた場合、得点したチームに交代は認められない。ただし、審判がゲームを止めた場合を除く。
【補足】ここでの審判がゲームを中断させた場合とは、得点されたチームにタイムアウトや交代が認められたときなどの競技規則で想定されている状況で審判が笛を鳴らしてゲームを止めたときを指す。国内大会においては、第 4 クォーター、各オーバータイムでゲームクロックが 2:00 あるいはそれ以下を表示しているときに、審判やテーブルオフィシャルズの不注意、会場備品や施設等の不具合、コート内に物などが入ったとき、またはボールが遠くに転がったとき、モップなどコートの整備をやむなく入れるときなど、競技規則で想定されていない状況で審判が笛を鳴らしてゲームを止めた場合には、タイムアウトや交代は認められない。
タイムアウトが3回分残っていても、2回までしかとることができない
タイムアウトは後半3回まで認められますが、L2Mまでタイムアウトを一度も取らなければ、タイムアウトの権利1回分が消滅します。
スコアラーはタイムアウト消滅の際は、スコアシートの後半タイムアウト記入の左端の枠に2重線を記入します。
18-2-5 それぞれのチームに認められるタイムアウトの回数は:
・前半(第1クォーターと第2クォーター)に2回。
・後半(第3クォーターと第4クォーター)に3回。
ただし、第4クォーターで、ゲームクロックが2:00 あるいはそれ以下を表示しているときには2回までしかタイムアウトをとることはできない。
・各オーバータイムに1回。
“2023 バスケットボール競技規則” 「公益財団法人日本バスケットボール協会(JBA)」より引用
スローイン時のファウルが厳しくなる
L2Mでスローインが行われるとき、審判がサイドラインやエンドライン(ベースライン)上で、腕を上下に振る警告動作を行いますが、これを「リーガルバウンダリラインクロッシングシグナル(プリベンティブシグナル)」と言います。
審判がこの動作を行ったとき(つまり残り2分以下時間のスローインのとき)、ディフェンス選手の体の一部がラインから外にでたり、コート外のスペースが狭いときは、スローインする選手の1m以内に近づくとテクニカルファウルになります。
また、L2Mのスローインでは、まだコート上にボールが無いときに、ディフェンス選手が起こしたファウルは、アンスポーツマンライクファウルになりますが、2023年4月からは「スローインファウル」という扱いになります。
※2023年4月から「スローインファウル」の詳細は以下の記事で説明しています。Bリーグでは2022年10月16日現在すでに導入されています。
17-3-3 第4クォーター、各オーバータイムでゲームクロックが2:00 あるいはそれ以下を表示しているときに、スローインが行われる場合、審判はスローインのボールを与えるときにイリーガルバウンダリラインクロッシングシグナル(プリベンティブシグナル)を使用して警告を与える。
ディフェンスのプレーヤーが:
・スローインを妨げるために境界線を越えて体の一部を出した場合。
・障害物からラインまでの距離が2m未満のとき、スローインをするプレーヤーから1m以内に近づいた場合。
これらはバイオレーションであり、テクニカルファウルとする。
“2023 バスケットボール競技規則” 「公益財団法人日本バスケットボール協会(JBA)」より引用
【条文 34-1-2】
スローインファウルとは、第 4 クォーターや各オーバータイムで、ゲームクロックに 2:00 あるいはそれ以下が表示されている状態でアウトオブバウンズからのスローインを行うときに、まだボールが審判あるいはスローインを行うプレーヤーの手にある間に、コート上のディフェンスのプレーヤーが相手プレーヤーに起こすパーソナルファウルである。
【条文 34-2-3】
スローインファウルが宣せられた場合:
・ファウルをしたチームがすでにチームファウルのペナルティシチュエーションかどうかにかかわらず、ファウルをされたプレーヤーはフリースローを 1 本のみ与えられる。ゲームはファウルが起きた場所に最も近いアウトオブバウンズからファウルをされたチームのスローインで再開される。
【条文 37-1-1】
“2022 FIBA バスケットボール競技規則 変更点サマリー20230208” 「公益財団法人日本バスケットボール協会(JBA)」より引用
・第4クォーター、各オーバータイムで、ゲームクロックが2: 00 あるいはそれ以下を表示しているときに、ボールをアウトオブバウンズからスローインをするときに、まだボールが審判あるいはスローインをするプレーヤーの手にあるときに、コート上のディフェンスのプレーヤーが相手に起こしたファウル。(削除)