※2024年5月25日:“「2024バスケットボール競技規則」”に準拠
イリーガルドリブル(illegal dribble)とは
「ダブルドリブル」という用語は公式ルールに記載されていませんが、「ダブルドリブル」は「イリーガルドリブル」の一種です。
「イリーガルドリブル」を直訳すると、「違法ドリブル」となります。つまりドリブルの定義から外れたドリブルを総称して「イリーガルドリブル」と呼びます。
イリーガルドリブル(ダブルドリブル)にならないためには
イリーガルドリブルを避けるために、重要なことは以下の3点です。
- ドリブルの最中にボールの下半球を支え持たないこと
- ドリブルの最中にボールを両手で持たないこと
- パスしたボールに再び自分で触れないこと
イリーガルドリブルの微妙な判定シーン
両手ドリブル(パワードリブル)
ルール上、両手でボールを触った時点でボールをコントロールしたことになります。つまり、突き始めの最初の1回のみ両手ドリブルが認められます。ドリブルの途中で片手から両手に変えたり、両手ドリブルを2回続けるとイリーガルドリブルとなります。
バックボードを使ったプレー
2019年のルール変更から、「バックボードを狙ってボールを投げ、再びボールをコントロールすること」はドリブルではないと明記されました。
また、2022バスケット競技規則では、バックボードに当てる前にドリブルをしていなければ、バックボードに当てた後、ドリブルをすることができることが明記されました。
24-1
条文:プレーヤーが相手チームや自チームのバックボードをめがけて意図的にボールを投げた場合、ドリブルとはみなされない。
24-2
例︓A1 はまだドリブルをしておらず、⽴ち続けながらバックボードをめがけて意図的にボールを投げ、他のプレーヤーが触れる前にボールをキャッチした、あるいはボールに触れた。
解説︓A1 の正当なプレーである。ボールをキャッチしたあと、A1 はショットやパス、ドリブルを始めることができる。
24-3
例︓ドリブルを終了したあと、A1 は故意にバックボードをめがけてボールを投げた。その後ボールはコート上に弾み、A1 は再びボールをキャッチし、ドリブルを始めた。
例:ドリブルを終えたあと、ひと続きの動きで、あるいは立ち続けながら、A1 はバックボードをめがけ
て意図的にボールを投げた。ボールが、
(a)コートに弾んだあと、A1は再びボールに触れた、あるいはキャッチし、ドリブルを始めた。
(b)他のプレーヤーに触れる前に、A1は再びボールに触れた、あるいはキャッチした。解説︓
(a)は、A1のダブルドリブルのバイオレーションである。最初のドリブルを終えたあと、A1 は 2 度目の
ドリブルをすることはできない。
(b)は、A1の正当なプレーである。ボールに触れたあと、あるいはキャッチしたあと、A1 はショットやパ
スをすることができるが、新たなドリブルを始めることはできない。24-4
例︓ゲームクロックが動いていて、ボールがライブの状態での A1 のショットはリングに触れなかった。A1はボールをキャッチし、故意にバックボードをめがけて投げた。そのあと他のプレーヤーが触れる前にボールをキャッチした、あるいはボールに触れた。
解説︓A1の正当なプレーである。ボールをキャッチしたあと、A1はショットやパス、ドリブルを始めることができる。
「2024バスケットボール競技規則」より引用
ドリブル途中で高くバウンドしたボールのコントロール
ドリブル途中で高くバウンドしたボールを再びドリブルするのはイリーガルドリブルにはなりません。ただし、ボールの下半球を手で支えた場合は、イリーガルドリブル(キャリングザボール)となります。
コールされやすいパーミング(Palming)とは
パーミングとはドリブル中に片手でボールの下半球を持ってしまいそのままドリブルを続けることです。競技規則では「キャリイングザボール」と表現されています。
特にアンダーカテゴリーの選手は、長く手に吸い付くようなハンドリングの良いドリブルを習得する過程で、ドリブルの最中にボールの下半球を支えてコントロールしてしまいがちです。誰もが通る道ですが、アンダーカテゴリーでは矯正目的もあるため、積極的にバイオレーション(ダブドリ)がコールされる傾向があります。
こねるドリブル
こねるようにドリブルする行為に問題はありませんが、ボールの下半球を支えるようにこねてしまうとコールされます。
ポケットドリブル
ドリブルの最中に腰のあたりで後方に深く引くように下げる動きを言います。
この動きはドリブル中にボールをコントロールする時間を長く保つために非常に重要ですが、バイオレーション(ダブドリ)をコールされやすいです。
ロールターン
ロールターンもボールを長く引きながら保持しなければならないため、ボールの下半球を支えてしまいがちです。
イリーガルドリブルの審判ジェスチャー
公式ルール(「2023バスケットボール競技規則」準拠)
第24 条 ドリブル (Dribbling)
24-1 定義
24-1-1 ドリブルとは、ライブのボールをコントロールしたプレーヤーが、ボールをフロアに投げたり叩いたり転がしたり、弾ませたりする動作である。
24-1-2 ドリブルが始まるのは、コート上でライブのボールをコントロールしたプレーヤーが、ボールをフロアに投げたり叩いたり転がしたり、弾ませたりして、その後、他のプレーヤーが触れないうちに再びそのボールに触れたときである。
ドリブルの間、プレーヤーは手のどの部分であっても手をボールの下に入れて、ある地点から別の地点に運ぶことはできない。またはボールを一度止めてからドリブルを続けることはできない。
ドリブルの間ボールを空中に投げることもできるが、ボールがフロアや他のプレーヤーに触れる前に、ボールを投げたプレーヤーがもう一度自分の手でボールに触れることはできない。ボールが手に触れていない間は、そのプレーヤーの踏むステップの数に制限はない。
ドリブルが終わるのは、ドリブラーの両手が同時にボールに触れるか、片手または両手でボールを支え持ったときである。
24-1-3 コート上でライブのボールをコントロールしているプレーヤーが、誤ってボールのコントロールを失い、再びそのボールをコントロールしたときは、ボールをファンブルしたことになる。
24-1-4 以下の行為はドリブルではない:
- 連続してショットすること。
- ドリブルを始めるときや終わるときにボールをファンブルすること
- 他のプレーヤーの近くにあるボールをはじき出してコントロールしようとすること
- 他のプレーヤーがコントロールしているボールをはじき出すこと
- パスされたボールをはじき落としてそのボールをコントロールしようとすること
- トラベリングにならない範囲で、コートににボールがつくことなく、片手もしくは両手でボールを支え持って、手から手にボールをトスして移すこと
- バックボードを狙ってボールを投げ、再びボールをコントロールすること
24-2 ルール
プレーヤーは、ひと続きのドリブルが終わったあと、新たなドリブルをすることはできない。ただし、以下のことでライブのボールのコントロールをいったん失ったあと、再びボールをコントロールしたときは、新たなドリブルをすることができる:
以下の状況で、プレーヤーはコート上で一度ライブのボールのコントロールを失ったあとで再びボールをコントロールしたときを除いて、一度ドリブルを終えたあと、新たなドリブルをすることはできない:
- ショットを放つ
- 相手プレーヤーがボールに触れる
- パスまたはファンブルしたボールが、他のプレーヤーに触れる