【NBAのトラベリングルール】~JBAルール(国際ルール)との違いについて~

NBAのトラベリングルールのイメージ画像

本記事は個人的な興味に基づきNBAとFIBA(JBA)のトラベリングルールについて比較した覚書です。

トラベリングに寛容と言われるNBAですが、これは何故だろうかということで、調べてみました。

早速こんな↓コール事例を発見しました。4Qで残り10秒で2点差の場面なので勝敗を左右する重要なジャッジでした。両足で着地してるのでちょっと厳しいような気がしますが、トラベリング判定でウォリアーズはこの試合敗戦。

少なくともこの事例だけみると全然寛容ではない気がします。では、ルール上の違いはあるのでしょうか。

結論としては、NBAとJBAのトラベリングルールは似ていますが、全体的に表現と構成がやや異なり、NBAの方が言葉少な目な気がしました。詳細は以下のとおりです。

「静止した状態でボールを受け取った時」のピボットフットの決め方

NBA OFFICAL RULES 2022-23の記載

a. A player who receives the ball while standing still may pivot, using either foot as the pivot foot.
a. 静止した状態でボールを受け取ったプレーヤーは、どちらかの足を軸足として使用してピボットすることができます。<Google翻訳>

引用元「NBA OFFICIAL RULES 2022-23」

JBA公式ルール「2022 バスケットボール競技規則」の記載

・フロアに両足で立ったままボールをキャッチしたプレーヤーの場合:
−片足を上げた瞬間、もう片方の足がピボットフットになる

引用元「2022 バスケットボール競技規則」JBA

「静止した状態でボールを受け取った時」のトラベリングルールの差異

JBAルールでは「両足」でと書かれているので、逆に「片足」で立ったまま静止している状態でボールをキャッチした時のピボットフットに関する規定が書かれていません。ですがなんとなくキャッチした時に地面についている足がピボットフットのような気がします。

一方NBAルールでは、「standing」が「両足」という指定が無いため、キャッチしたときに片足でも両足でも「standing」であれば、どちらかの足を軸足として使用できると解釈できます。

このことから「静止した状態でボールを受け取った時」のルールはわずかにNBAルールの方が少し判定基準に幅があると思います。

動いている状態でボールを受け取った時のピボットフットの決め方

NBA OFFICAL RULES 2022-23の記載

b. A player who gathers the ball while progressing may take (1) two steps in coming to a stop, passing or shooting the ball, or (2) if he has not yet dribbled, one step prior to releasing the ball. A player who gathers the ball while dribbling may take two steps in coming to a stop, passing, or shooting the ball.
b. 進行中にボールを集めるプレーヤーは、(1) ボールを止める、パスする、またはシュートする際に 2 歩、または (2) まだドリブルしていない場合は、ボールを放す前に 1 歩進むことができます。 ドリブル中にボールを集めるプレーヤーは、ボールを止める、パスする、またはシュートする際に 2 つのステップを踏むことができます。<Google翻訳>


The first step occurs when a foot, or both feet, touch the floor after the player gathers the ball.
最初のステップは、プレーヤーがボールを集めた後、足または両足が床に触れたときに発生します。<Google翻訳>


The second step occurs after the first step when the other foot touches the floor, or both feet touch the floor simultaneously.
2 番目のステップは、最初のステップの後に、もう一方の足が床に触れるか、または両方の場合に発生します。 足は同時に床に触れます。<Google翻訳>

A player who comes to a stop on step one when both feet are on the floor or touch the floor simultaneously may pivot using either foot as his pivot. If he jumps with both feet he must release the ball before either foot touches the floor.
両足が床についているか、同時に床に触れているときにステップ 1 で停止したプレーヤーは、どちらかの足をピボットとしてピボットすることができます。両足でジャンプする場合は、どちらかの足が床につく前にボールを離さなければなりません。<Google翻訳>

A player who lands with one foot first may only pivot using that foot.
最初に片足で着地したプレーヤーは、その足でのみピボットできます。<Google翻訳>

A progressing player who jumps off one foot on the first step may land with both feet simultaneously for the second step. In this situation, the player may not pivot with either foot and if one or both feet leave the floor the ball must be released before either returns to the floor.
最初のステップで片足で飛び降りた進行中のプレーヤーは、2 番目のステップで両足を同時に着地させることができます。 この状況では、プレーヤーはどちらかの足でピボットすることはできず、片方または両方の足が床から離れた場合、どちらかが床に戻る前にボールを放さなければなりません。<Google翻訳>

引用元「NBA OFFICIAL RULES 2022-23」

JBA公式ルール「2022 バスケットボール競技規則」の記載

動きながらまたはドリブルを終えるときにボールをキャッチしたプレーヤーは、ストップしたりパスやショットをするために、2歩までステップを踏むことができる:

補足:動きながら足がフロアについた状態でボールをコントロールした場合、フロアについている足は0歩目とし、その後2歩までステップを踏むことができる。その場合、1歩目がピボットフットになる。

−ボールをキャッチした後ドリブルを始めるには、2歩目のステップを踏む前にボールを離さなければならない

−1歩目のステップは、ボールをコントロールしたあとにフロアについた片足または両足である

−2歩目のステップは、1歩目のステップのあとにフロアについた反対の足または同時についた両足である

−プレーヤーの1歩目のステップがほぼ同時に両足でフロアについたとき、ピボットをする場合はどちらの足でもピボットフットにすることができる。両足でジャンプした場合は、フロアに着地するまでにボールを手から離さなくてはならない

−プレーヤーが片足でフロアに着地したときには、その足しかピボットフットにすることができない

−プレーヤーは1歩目のステップで踏み切り、両足で同時に着地してもよいが、どちらの足でもピボットすることはできない。片足または両足のいずれかがフロアから離れたときには、足がフロアにつく前にボールを手から離さなくてはならない

−両足がフロアから離れた状態から両足を同時にフロアについたときは、片方の足を離したときにもう片方の足がピボットフットになる

引用元「2022 バスケットボール競技規則」JBA

「動いている状態でボールを受け取った時」のトラベリングルールの差異

「一歩目で両足着地した際、どちらかの足をピボットフットにしてもう一歩踏み込める」という主旨の記載があり、さらに「二歩目では両足着地した場合どちらの足もピボットフットにならない」というような記載がありますが、JBAルールでは、両足着地のときのピボットフットについてわざわざもう一度記載されていて(最後の一文)、この記述に一歩目なのか二歩目なのかが書かれていないため、場合によっては二歩目の両足着地でもピボット可能なようにも解釈できそうな表現となっています。

ただし、これは厳密に定義しようとした結果矛盾が生じてしまっただけだと思うので、どちらのルールも同程度の判定基準と考えられます。

「突き出し」の判定

NBA OFFICAL RULES 2022-23の記載

c. In starting a dribble after (1) receiving the ball while standing still, or (2) coming to a legal stop, the ball must be out of the player’s hand before the pivot foot is raised off the floor.
c. (1) 静止した状態でボールを受け取った後、または (2) 正当に停止した後にドリブルを開始する場合、軸足が床から上がる前に、ボールがプレーヤーの手から離れていなければなりません。<Google翻訳>

引用元「NBA OFFICIAL RULES 2022-23」

JBA公式ルール「2022 バスケットボール競技規則」の記載

−ドリブルを始めるためには、ボールが手から離れる前にピボットフットを上げてはならない

引用元「2022 バスケットボール競技規則」JBA

「突き出し」の判定の差異

NBAルールにはボールを貰うときの条件が明記されていますが、「突き出し」の判定そのものに影響は無さそうなので、どちらも同じと考えます。

軸足が離れたときの判定

NBA OFFICAL RULES 2022-23の記載

d. If a player, with the ball in his possession, raises his pivot foot off the floor, he must pass or shoot before his pivot foot returns to the floor. If he drops the ball while in the air, he may not be the first to touch the ball.
d. プレーヤーがボールを保持しているときに軸足を床から上げた場合、軸足が床に戻る前にパスまたはシュートしなければなりません。彼が空中でボールを落とした場合、最初にボールに触れたのは彼ではないかもしれません。<Google翻訳>

引用元「NBA OFFICIAL RULES 2022-23」

JBA公式ルール「2022 バスケットボール競技規則」の記載

−パスもしくはショットをするためにピボットフットでジャンプすることはできるが、どちらかの足がフロアに着地する前にボールを手から離さなくてはならない

引用元「2022 バスケットボール競技規則」JBA

「軸足が離れたとき」の判定の差異

JBAルールにはジャンプしてボールを離した後、再び保持した場合のルール記載が無いため、JBAルールのほうが判定に幅があると思われます。

フロアに倒れたときの判定

NBA OFFICAL RULES 2022-23の記載

e. A player who falls to the floor while holding the ball, or while coming to a stop, may not gain an advantage by sliding.
e. ボールを保持している間、または停止中に床に倒れたプレーヤーは、スライディングによって有利になることはありません。<Google翻訳>

引用元「NBA OFFICIAL RULES 2022-23」

JBA公式ルール「2022 バスケットボール競技規則」の記載

・ボールを持ったままフロアに倒れたり滑ったり、あるいはフロアに横たわったり座ったりしている状態で、ボールをコントロールすることは認められている
・その後にボールを持ったまま転がるか、立ち上がることはバイオレーションである

引用元「2022 バスケットボール競技規則」JBA

「フロアに倒れたとき」の判定の差異

JBAルールには「倒れる」「滑る」はOKで、ボールを持って「転がる」「立ち上がる」はNGとなっていますが、NBAルールのほうは、スライディングは有利にならないと書かれているだけなので、明確に判定基準に違いがあります。NBAルールではかなり審判の判定に委ねられている部分のような気がします。

ドリブル終了後の片足ステップ(スキップ)の判定

NBA OFFICAL RULES 2022-23の記載

h. Upon ending his dribble or gaining control of the ball, a player may not touch the floor consecutively with the same foot (hop).
h. ドリブルを終了するか、ボールのコントロールを得ると、プレーヤーは同じ足 (ホップ) で連続して床に触れてはなりません。<Google翻訳>

引用元「NBA OFFICIAL RULES 2022-23」

JBA公式ルール「2022 バスケットボール競技規則」の記載

−ドリブルを終えたあと、あるいはボールをコントロールしたあとに、連続して同じ片足でフロアに触れたり、連続して両足でフロアに触れてはならない

引用元「2022 バスケットボール競技規則」JBA

「ドリブル終了後の片足ステップ(スキップ)」の判定の差異

NBAルールでは、「連続した両足ステップ」については触れられていないため、NBAルールのほうが判定に幅があると思われます。

NBAルールにのみ記載されているルール

f. A player who attempts a field goal may not be the first to touch the ball if it fails to touch the backboard, basket ring or another player.
f. フィールドゴールを試みるプレーヤーは、ボールがバックボード、バスケットリング、または他のプレーヤーに触れなかった場合、ボールに最初に触れない場合があります。<Google翻訳>

g. A player may not be the first to touch his own pass unless the ball touches his backboard, basket ring or another player.
g. プレーヤーは、ボールがバックボード、バスケット リング、または他のプレーヤーに触れない限り、自分のパスに最初に触れてはなりません。

引用元「NBA OFFICIAL RULES 2022-23」

これらはNBAルールにのみ記載されているため、JBAルールのほうが判定に幅があります。

まとめ

トラベリングに寛容と言われるNBAですが、ルール上の差異はほとんどありませんでした。

むしろNBAルールのほうが短文で明瞭に書かれていてわかりやすいルールになっているということを改めて知ることができました。

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