【競技規則(20220810)の変更点サマリーのサマリー】~とりあえずざっくり把握したい方へ~

※2023年3月26日:「【『シリンダー』とは(2023年ルール対応版)】~バスケの超難解なルール~」へのリンクを追加。
※2023年3月23日:「JBA公式Youtubeの解説」を追加

バスケットボール競技規則2022年4月適用分のルール変更は比較的小規模でしたが、今回(2023年4月適用)分は修正は少ないものの影響の大きな修正がありそうですので本サイトへの反映前に自分用の覚書も兼ねて整理しました。

先日JBA監修によるFIBAルール変更のサマリーが公開されましたので、その内容をさらっと共有します。(詳細については公式規則の条文を必ず確認してください。)

※2022年4月にFIBAにより示された「FIBA Official Basketball Rules Changes 2022 -Version 1.0」での変更点を要約したもの

変更適用時期

Bリーグでは今シーズン(2022-2023シーズン)から適用されるようです。

<本変更点の国内適用時期>

① トップリーグ(B1、B2、B3、Wリーグ)においては、原則、2022-23シーズンから適用。ただし、第9条 「ゲーム、クォーター、オーバータイムの開始と終了」に関しては2023-24からの適用とする。

② 2022年度天皇杯・皇后杯における付録F「ヘッドコーチ・チャレンジ」、第9条「ゲーム、クォーター、オーバータイム の開始と終了」については、IRS導入の時期を含め可否を検討。その他の変更点については原則、天皇杯・皇后杯において適用。 ※第1ラウンドでは新ルール適用なし。

③ その他国内競技会においては、2023年4月1日から適用。

引用元「「2022 FIBAバスケットボール競技規則 変更点サマリー 20220810」

ルール変更のサマリーのサマリー

1.ユニフォームの背番号のルール変更

背番号や広告の位置に関する規定変更のようです。許容範囲を広げる変更のようなので元々の規則に沿ったユニフォームを使っているなら影響はなさそうですね。

1.第4条 チーム

<変更点の概要>

ユニフォームに記載する番号の大きさと、広告や商標、ロゴマーク等をつける場合に番号から離す間隔に関する変更です。

背面の番号の高さは20cm以上から16cm以上に、前面の番号の高さは10cm以上から8cm以上に、また広告や商標、ロゴマーク等をつける場合に番号から離す間隔は5cm以上から4cm以上に、それぞれ変更となります。

引用元「「2022 FIBAバスケットボール競技規則 変更点サマリー 20220810」

2.終了間際のファウルについてのルール変更

細かいルール変更ですが、影響はありそうですね。

  1. 終了間際のシュート動作中(AOS【アクトオブシューティング】)にファウルがあった場合、ボールが手から離れたタイミング如何に関わらず、シュートが入った場合ゴールが認められるようになる。
  2. 終了間際にファウルが宣告された場合は、最低でも0.1秒は時間が残るためフリースローについては、必ずリバウンドのポジションに付かなければなりません。

2.第8条 競技時間、同点、オーバータイム、 第10条 ボールのステータス、 第34条 パーソナルファウル

<変更点の概要>

クォーターもしくはオーバータイムの終了間際にファウルが宣せられた場合の取り扱いに関する変更です。

審判はそのファウルが競技時間内に起きたかどうかを判断することがルール化され、ファウルと競技時間の終わりに前後が存在することが前提となります。

したがって、審判が「ファウルは競技時間の終了より先に起きた」と判断した場合、たとえ短い時間でも競技時間が残っている必要があり、試合はゲームクロックに少なくとも0.1秒以上を表示して再開されます。これに伴い、プレーのインターバルが始まる前にゲームクロックに0.0秒を表示した状態で、誰もリバウンドの位置に着かずにフリースローを行うことはなくなります。

審判が「ファウルは競技時間が終了した後で起きた」と判断した場合、そのファウルはアンスポーツマンライクファウル、テクニカルファウルもしくはディスクォリファイングファウルで、後に続くクォーターやオーバータイムがない限り、競技時間の終了後に起きたものとして、なかったものとみなされます。

引用元「「2022 FIBAバスケットボール競技規則 変更点サマリー 20220810」

3.ウォーミングアップの場所と最初に攻撃する方向の変更

Bリーグでは2022-2023シーズンでは適用されず、2023-2024からの適用のようです。
(アンダーカテゴリーは2023年4月から適用。)

今回のルール変更の中ではアンダーカテゴリーの選手には一番影響がある内容です。変更される目的は相手チームとの接触をできるだけ減らすという対策のようです。

  1. ウォーミングアップを自分のチームの前で行う
  2. 最初に攻撃するリングが自チームの前のリングに変わる(今までと反対になる)

ミニバスとか逆に攻めてしまう子が増えそうですね。

3.第9条 ゲーム、クォーター、オーバータイムの開始と終了

<変更点の概要>

チームが攻撃するバスケットと、ゲーム開始前のウォーミングアップを行うバスケットに関する変更です。スコアラーズテーブルからコートに向かって左側のバスケットは相手チームのバスケットとなり、自チームは前半そちらのバスケットを攻撃することになります。またゲーム開始前のウォームアップを自チームのチームベンチ前のハーフコートで行うことになります。

引用元「「2022 FIBAバスケットボール競技規則 変更点サマリー 20220810」

4.最初のジャンプボール後のオルタネイティングポゼッションアローの向きについてのルールの明確化

コート上でなくても、ボールをコントロールした時点でボゼッションが決まるということのようです。

つまり、最初のジャンプボールがアウトオブバウンズでスローインになった場合は、スローインする人の手にボールが渡った時点でアローの向きが決定するということですね。

4.第12条 ジャンプボール、オルタネイティングポゼッション

<変更点の概要>

ゲーム開始のジャンプボールの後でオルタネイティングポゼッションアローが示す方向に関する変更です。

これまではゲーム開始のジャンプボールの後でオルタネイティングポゼッションアローがどちらのチームを示すかは、いずれかのプレーヤーがコート上で最初にライブのボールをコントロールするまでは確定しないルールでした。例えばジャンパーに弾かれたボールが誰にもコントロールされないまま直接アウトオブバウンズになったとき、その後のスローインの時点で実際にはボールはスローインを行うプレーヤーによってコントロールされているにも関わらず、ポゼッションアローの向きはその時点では確定しないなど、いくつかのケースでは複雑なルールでした。

今回の変更により、ゲーム開始のジャンプボールの後でのポゼッションアローは、コート上でコントロールがあったかどうかに関わらず、ライブのボールを最初にコントロールしたチームの相手チームの方向を示されることになります。これにより、先の例ではアウトオブバウンズの後でスローインを行うプレーヤーにボールが与えられた時点でポゼッションアローの向きが定まることとなり、誤った方向を示してしまうなどのミスを回避することにつながる変更となっています。

引用元「「2022 FIBAバスケットボール競技規則 変更点サマリー 20220810」

5.L2M(ラストツーミニッツ)のアンスポルール(クライテリア5)のルール変更。(スローインファウルの新設)

「スローインファウル」というルールの追加です。(これも選手への影響の大きいルール変更です。)

  1. L2M(ラストツーミニッツ)のとき、スローインを行うプレーヤーの手からボールが離れる前に起きたディフェンスファウルが、アンスポーツマンライクファウルから、パーソナルファウルに変更
  2. そのときの罰則はワンスローとファウルされた位置の近くからのスローイン

5.第34条 スローインファウル、 第37条 アンスポーツマンライクファウル

<変更点の概要>

第4クォーターや各オーバータイムで、ゲームクロックに2:00あるいはそれ以下が表示されている状態で、スローインを行うプレーヤーの手からボールが離れる前に起きたディフェンスファウルに関する変更です。

これまではアンスポーツマンライクファウルが宣せられていましたが、今回の変更によりパーソナルファウルとして扱う事となり、その罰則として1本のフリースローがファウルをされたプレーヤーに与えられ、ゲームはファウルが起きた場所に最も近い位置からファウルをされたチームのスローインで再開されることになります。これに伴い、アンスポーツマンライクファウルのクライテリア(判定基準項目)は5つから4つに減ることとなります。

引用元「「2022 FIBAバスケットボール競技規則 変更点サマリー 20220810」

6.クリアパスシチュエーションにおけるアンスポルールの明確化

条文がより明確になったという変更です。

「ボールを持っていなくても、前方に相手チームの選手がいない状況で、味方からのパスが放たれた時点で、その選手への後ろおよび横からの不当な触れ合いはアンスポになる」ということですね。

6.第37条 アンスポーツマンライクファウル

<変更点の概要>

アンスポーツマンライクファウルのクライテリア(判定基準項目)の1つである「クリアパスプレーヤー」に関する変更です。

相手チームのバスケットに向かって進行しているプレーヤーに向かってパスされたボールが空中にある状況において、ファウルがなければそのボールを本来コントロールできた状況など、実際はアンスポーツマンライクファウルに該当すると判断できるものを条件として追加することになり、その判定がゲームの中でより受け入れられやすいように変更されます。

引用元「「2022 FIBAバスケットボール競技規則 変更点サマリー 20220810」

7.IRS※に関するルールの整合化

※IRS(インスタント・リプレー・システム):審判が試合を止めてビデオ判定すること

この変更は正直よくわかりませんが、「暴力行為の可能性があったときに審判はただちに試合を止めてIRSレビューする権限はあるが、必ずしも即座に止める義務は無くて、遅くとも最初に試合を止めたときにIRSレビューをしなければならない」という解釈ですかね。

アンダーカテゴリーには影響無いことと、整合性目的のようなので個人的にスルーします。

7.第42条 特別な処置をする場合

<変更点の概要>

条文F3-3におけるルール変更に基づき、審判は暴力行為、または暴力行為が起きた可能性があると判断した場合、IRSレビューを行うためにゲームを止める権限があります。一方で、それらの行為が起きた時点ではゲームが止められず、その後暴力行為が起きた可能性があるとして、審判がゲームを止めてIRSレビューを行った際に競技規則第42条の内容に沿って罰則の処置を行うことになり、競技規則内の整合性を保つために以下の部分が追記されました。(具体的な処置に関しては競技規則第42条をご参照ください)

引用元「「2022 FIBAバスケットボール競技規則 変更点サマリー 20220810」

8.TO役割分担について修正

それまでスコアラーの役割だった「5ファウルのときのブザー(その他の方法)で審判に知らせる」が、FIBAルールでは2020年からタイマーの役割に変更されていたが、JBA監修の競技規則には盛り込まれていなかったので、今回訂正された。ただし、国内大会ではスコアラーのままでOKという注釈があるため、実質なにも影響ありません。

それと、ヘッドコーチチャレンジのときの役割がスコアラーとアシスタントスコアラーに追加されるようですが、スコアシートの書き方が変わる以外に違いが良くわかりませんでした。これもアンダーカテゴリーには影響無さそうなので個人的にスルーします。

8-1.第48条 スコアラー、アシスタントスコアラー:任務 / 第49条 タイマー:任務

<変更点の概要>

テーブルオフィシャルの業務に関する変更です。

2020年版の競技規則の変更で、テーブルオフィシャルズの間での業務負担を分散するために、スコアラーの任務の一部がタイマーに移されました。その際にあわせて移されなければならなかった「プレーヤーに5個のファウルが宣せられたときに速やかに審判に知らせる」ことが抜けていたため、今回の変更でスコアラーの業務から削除され、タイマーの業務として追加されます。

8-2.第48条 スコアラー、アシスタントスコアラー:任務

<変更点の概要>

「ヘッドコーチチャレンジ」の導入に伴い、任務が追加されます。

「ヘッドコーチチャレンジ」の具体的なルールについては下記「F4 ヘッドコーチチャレンジ」をご参照ください。

引用元「「2022 FIBAバスケットボール競技規則 変更点サマリー 20220810」

9.「イリーガルシリンダー」、「ゴールテンディング、インタフェアレンス」の審判シグナル追加

審判シグナルが追加されました。

イリーガルシリンダー

両手、両腕を垂直に下げて上げる

ゴールティンディング/インタフェアレンス

伸ばした人差し指を円を作ったもう一方の手の上で回転させる

ヘッドコーチチャレンジ

ヘッドコーチはルールに沿って起きた事象についてIRSレビュー請求をする場合、最も近くにいる審判にシグナルを明確に示さなければなりません。
クルーチーフはヘッドコーチのチャレンジを確認し、ルールに沿ってシグナルを示します。

10.スコアシートの変更

  • タイムアウト時のH1、H2、OTの表記追加
  • HCC枠の追加

近日中に当サイト「オリジナルスコアシート」(非公式無料)も更新します。

タイムアウトの書き方明確化

a) タイムアウト

【付録 B-7-1】

認められたタイムアウトは、スコアシートのチーム名の下、前半はH1の横、後半はH2の横、3回目までのオーバータイムはOTの横の枠に、タイムアウトが認められたときの各クォーターまたはオーバータイムの経過時間(分)を数字で記入する。

【付録 B-7-2】

各ハーフ、各オーバータイムに使用しなかった枠には2本の横線を引く。第4クォーターでゲームクロックが残り2:00 を表示する前に、チームに後半の最初のタイムアウトが認められなかったときは、そのチームの後半の最初の枠(後半の左端の枠)に2本の横線を引く。

【補足】例えば、「残り3分12 秒」のときには「7」、 「残り0分45 秒」のときには「10」と記入する。 それぞれの数字は、各クォーターで使用している 色で記入する。すなわち、第1クォーターと第3 クォーターは赤色、第2クォーターと第4クォーター および各オーバータイムは青色または黒色で 記入する。

引用元「「2022 FIBAバスケットボール競技規則 変更点サマリー 20220810」

ヘッドコーチチャレンジ書き方追加

c) ヘッドコーチチャレンジ

【付録 B-13-1】

インスタントリプレーシステムが使用されているゲームでは、各チームは1度ヘッドコーチチャレンジ(HCC)を行うことができる。認められた場合、HCCはスコアシートのチーム名の下、HCCの横の枠に記入される。左側の枠にスコアラーはクォーターもしくはオーバータイム(Q1、Q2、Q3、Q4またはOT)を記入し、右側の枠に各クォーターまたはオーバータイムの経過時間(分)を数字で記入する。

※「ヘッドコーチチャレンジ」に関する新たなインスタントリプレーシステムの規則は付録F.4をご参照ください。

引用元「「2022 FIBAバスケットボール競技規則 変更点サマリー 20220810」

以降割愛~公式サマリーのダウンロード先のご紹介~

以降はIRSに関する改訂や追加なのでアンダーカテゴリーに関係無いため割愛させていただきます。

詳細必要な方はお手数ですが下記より公式ファイルを入手願います。

公式規則のダウンロード先

JBA公式トップページ」-「関わる・育てる」-「2022 バスケットボール競技規則」-「2022 FIBAバスケットボール競技規則 変更点サマリー 20220810」

JBA公式Youtubeの解説

JBA公式の解説動画がアップされていましたので共有しますね。

2023年4月1日国内適用 バスケットボール競技規則主な変更点
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