【ヘルドボールのルール考察】~危険なプレーなのになぜすぐ止めないのか~

※2023年11月6日:「ヘルドボール関連の公式ルール抜粋」にアウトオブバウンズのときのルール解釈を追加。

体格の大きな子が小さな子をボールごと振り回す場面は、高学年と低学年で体格差が大きいミニバスではよく見かけるシーンです。

親としては振り回す方でも振り回される方でも、どちらにしてもハラハラするので、なるべく回避したいところです。

そこで今回はこの「ヘルドボール」のルールの解釈や回避する方法について考察してみました。

「ヘルドボール」とは

ヘルドボール審判ジェスチャー

両チームの選手がボールを持って離さない状態のこと。

オルタネイティングポゼッション」ルールによって、そのときにアローが示す側のゴールに攻めるチームのボールのスローインで再開されます。

「ジャンプボールシチュエーション」について

「ヘルドボール」のときに「ジャンプボールシチュエーション」と言ったりもしますが、これはヘルドボールを含む、オルタネイティングポゼッションルールが適用される場面全体を表す言葉です。

つまり、「リングにボールが挟まったとき」「両チームの選手が同時に触った後にボールがアウトオブバウンズになったとき」などのことは「ジャンプボールシチュエーション」と言いますが、「ヘルドボール」とは言いません。

ヘルドボール関連の公式ルール抜粋

12-1-2 ヘルドボールは、両チームの1人あるいはそれ以上のプレーヤーがボールに片手または両手をしっかりとかけて、どちらのプレーヤーも乱暴にしなければそのボールのコントロールを得られないときに宣せられる。

23-2-3 ヘルドボールの間にプレーヤーがアウトオブバウンズかバックコートに触れてしまった場合は、ジャンプボールシチュエーションになる。

「2023バスケットボール競技規則」「公益財団法人日本バスケットボール協会(JBA)」より

ミニバスなどアンダーカテゴリーで「ヘルドボール」が多い理由

技術的に未熟なため

1つはそもそもハンドリング能力が未熟なミニバス世代ではルーズボールになることが多く、さらにスペースシングの意識も低く、選手たちがボールに集まりやすいためです。いずれにせよ競技カテゴリーが上がるにつれてヘルドボールは少なくなります。

ルールによる影響

2つ目は、ルール上、相手を振り回すなど乱暴な動きであったり、お互いにボールを持ったままそのまま動いてトラベリング状態になってしまったり、アウトオブバウンズになったりしない場合は、基本的にはどちらがボールを奪う可能性があるのであれば審判は試合を止めないことが多いです。(実際に止めるタイミングは審判によって幅があります)

補足
  • 競技規則では「どちらのプレーヤーも乱暴にしなければそのボールのコントロールを得られないときに宣せられる。」となっているため、乱暴な行為に至るまでは試合を止めないとも解釈できてしまいます。
  • また、NBAのルールでは、以下のような記述があります。

A held ball should not be called until both players have hands so firmly on the ball that neither can gain sole possession without undue roughness.

ホールドされたボールは、両方のプレーヤーがボールをしっかりと握り、どちらも過度に乱暴にならずに単独でボールを保持できないようになるまで、コールされるべきではありません。(google翻訳)

引用元“NBA Official - RULE NO. 4: Definitions”

ファウルとヘルドボールの境界はどこ?

「ヘルドボール」になると体の接触がどうしても発生しますが、接触が即ちファウルになるかというとそうではなく、「不当な触れ合い」「シリンダー」「ヘルドボールを宣告するタイミング」等総合的に判断することになります。特にお互いにボールに手はかかっているがしっかりボールを保持できていない瞬間の接触は(お互いさまなので)かなりグレーゾーンです。

実際の試合では後ろから抱えるようにボールを保持したり、お互いにボールを保持する前にプレーに影響するレベルで「不当な触れ合い」が発生した場合はファウルが宣告されます。

34-1-1 パーソナルファウルとは、ボールのライブ、デッドにかかわらず、相手チームのプレーヤーとの不当な体の触れ合いによるプレーヤーファウルのことをいう。

プレーヤーは、相手を押さえて動きの自由を妨げたり、押したり、叩いたり、突き当たったり、つまずかせることをしてはならない。手(腕)や足(脚)、膝などを伸ばしたり広げたり突き出したり、体を不自然に曲げたりして相手の進行や相手の動きを妨げる触れ合いを、自分のシリンダーの外で起こしてはならない。

また、その他乱暴な触れ合いを起こすこともしてはならない。

「2022バスケットボール競技規則」「公益財団法人日本バスケットボール協会(JBA)」より

「ヘルドボール」を回避する方法

よくミニバスで指導されるのは「奪い合いになりそうなときにすぐに寝ころばない」ということですが、これは寝ころんでしまうと逆にボールを奪われやすくなってしまうからです。

仮にボールを奪うことができたとしても転がって奪ってしまうと「トラベリング」になってしまいますし、トラベリングにならなくても次のプレーへと繋ぎにくいため、「ヘルドボール」を回避するためには最も重要な意識だと思います。

ヘルドボールを避けるために必要な技術

Bリーグなどトップカテゴリーの試合ではあまり見られないことから、上手な選手(技術レベルの高い選手)ほどこの「ヘルドボール」は起こりにくくなるので、以下のようなスキルアップも重要です。

  • スペーシングを意識する(スペーシング)
  • ハンドリングを練習する(ハンドリング)
  • 相手よりも早く動く(クイックネス)
  • ゴールを守ることを意識する(ポジショニング)
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