『インテグリティー』とは~コーチへのテクニカルファウルについて~

※2022年4月10日:2022年4月施行の新ルールに対応。

ボール

2019年よりJBA では、インテグリティー委員会を設立し、インテグリティの精神(誠実さ、真摯さ、⾼潔さ)に則り、

「クリーンバスケット、クリーンザゲーム ~暴力暴言根絶~」

を推進するとした。

また、これはゲームに関わるプレーヤー、コーチ、レフェリー全ての協⼒でゲームの価値を⾼めようとする取り組みであり、ゲームを尊重する精神「リスペクト・フォー・ザ・ゲーム」にそったものであるとし、主に試合中のコーチの言動に対する「テクニカルファウル」のルールを強化した。

インテグリティー(integrity)とは

「インテグリティ」(integrity)とは、誠実、真摯、高潔などの概念を意味する言葉。組織のリーダーやマネジメントに求められる最も重要な資質、価値観を示す表現。

ドラッカーの著書『現代の経営』では以下のようにインテグリティーが欠如した人物の特徴について記載されている。

  1. 強みよりも弱みに目を向ける者
  2. 冷笑家
  3. 何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つ者
  4. 人格よりも、頭のよさを重視する者
  5. 有能な部下を恐れる者
  6. 自らの仕事に高い基準を設定しない者

結局必要なのは、学びと成長が得られるごく普通の環境

【JBA】Integrity2019

「子供がバスケができなくなるまで、精神的に追い込まれてしまったり」

「カウンセリングが必要なほど保護者が神経質になってしまったり」

「暴力や暴言が必要なほどコーチが勝利にこだわってしまったり」

「仕事を犠牲にして指導しても、理解が得られず苦しんだり」

お互いが傷つけあう環境を排除し、選手やコーチ、顧問や保護者、バスケに関係するすべての人が純粋にバスケットボールを楽しめて、学べる環境が必要です。

特に、学校やクラス、家庭環境で悩んでいたり、生きづらさを感じる子供たちにとって、むしろ学びと成長、心の支えになる環境を作らなければなりません。

Shooting Touch: Basketball as a Tool

参考リンク

http://www.japanbasketball.jp/release/60856

コーチの立ち振る舞いに対する「テクニカルファウル」

JBA プレーコーリング・ガイドライン”より引用

ヘッドコーチは以下のようなテクニカルファウルを自身が2回行うか、ヘッドコーチまたはヘッドコーチ以外のベンチスタッフと併せて3回テクニカルファウルを行うか、ヘッドコーチ以外のベンチスタッフが3回テクにファウルを行うと失格・退場処分となる。

テクニカルファウルの対象となる振る舞い(⾏動・⾏為)

1.コーチのプレーヤーに対する暴⾔

  • ⼈格、⼈権、存在を否定する⾔葉

〈具体例〉 最低、クズ、きもい、邪魔、出ていけ、帰れ、死ね、てめえ、この野郎、貴様

  • ⾃尊⼼を傷つける、能⼒を否定する⾔葉

〈具体例〉 役⽴たず、下⼿くそ、アホ、バカ

  • ⾝体的特徴をけなす⾔葉

〈具体例〉 チビ、デブ

  • 恐怖感を与える⾔葉

〈具体例〉 殴るぞ、しばくぞ、ぶっとばすぞ、帰りたいの︖、試合出たくないの︖

2.コーチの暴⼒的(攻撃的・虐待的含む)振る舞い(⾏動・⾏為)

  • 殴る・蹴るなどを連想させる⾏為
  • プレーヤーと近接(顔の⽬の前、腕⼀本分より近い距離)して⾼圧的威圧的に指導する⾏為
  • 「おい︕」「こら︕」と⼤声でプレーヤーを⾼圧的威嚇的に指導する⾏為
  • 継続的、かつ、度を超えた⼤声でプレーヤーを指導する⾏為、いわゆる怒鳴りつける⾏為
  • 物に当たる、投げる、床を蹴るなどの⾏為

3.第三者が不快と感じる振る舞い(⾏動・⾏為)

  • 不潔な服装、裸⾜やスリッパでの指導

テクニカルファウルの公式ルール

“2022 バスケットボール競技規則” 「公益財団法人日本バスケットボール協会(JBA)」より引用

第36 条 テクニカルファウル (TF:Technical foul)

36-1  言動や振る舞いに関する規定

36-1-1 ゲームは、両チームのプレーヤー、ヘッドコーチ、アシスタントコーチ、交代要員、5個のファウルを宣せられたチームメンバー、チーム関係者、審判、テーブルオフィシャルズ、コミッショナー(同席している場合)を含むこれら全ての人たちの完全な協力によって成立するものである。

36-1-2 両チームは勝利を得るために全力を尽くさなければならないが、これはスポーツマンシップとフェアプレーの精神に基づいたものでなければならない。

36-1-3 競技規則の精神と目的に対して、意図的にあるいは繰り返し行われる非協力的な行為は、テクニカルファウルとみなされる。

36-1-4 審判は、明らかに意図的ではなくゲームに直接的に影響のない軽微な違反については、テクニカルファウルを科さずに警告を与えることがある。ただし、警告の後もその同じ違反が繰り返し続く場合はその限りではない。

36-1-5 ボールがいったんライブになってから、前に起こったこの規則に該当する違反が見つかった場合は、見つかったときにテクニカルファウルがあったものとして処置をする。
この規則に該当する違反があってからそれが見つけられるまでに起こったことは、全て有効である。

36-2   定義

36-2-1 テクニカルファウルは、相手チームのプレーヤーとの体の触れ合いのない振る舞いであり以下が該当するが、これらに限るものではない:

  • 審判からの警告を無視する
  • 審判、コミッショナー、テーブルオフィシャルズ、相手チーム、あるいはチームベンチに座ることを許可された者への敬意を欠く振る舞い、異論表現
  • 観客に対して無作法に振る舞ったり挑発する、あるいは煽動するような言動をとる
  • 相手チームのプレーヤーを挑発したり侮辱する
  • 相手チームのプレーヤーの目の前で手を振ったり、手をかざしたりして視野を妨げる
  • 肘を激しく振り回す
  • バスケットを通過したボールに故意に触れる、またはボールが素早くスローインされるのを妨げてゲームの進行を遅らせる
補 足

審判にボールを返さずにゲームの進行を遅らせるような行為等も上記項目に該当する。

  • フェイク(ファウルをされたと欺くこと)
  • リングをつかんで体重をかける。ただし、ダンクショットのときにやむを得ず瞬間的にリングをつかむことは差し支えない。また自分や他のプレーヤーが怪我をするのを避けようとしたと審判が判断したときは、リングをつかんでもテクニカルファウルとはしない
  • 最後のフリースローでボールがリングに触れる前にゴールテンディングのバイオレーションをしたときは、オフェンスのチームに1点が与えられ、さらにそのディフェンスのプレーヤーにテクニカルファウルが宣せられる。

36-2-2 チームベンチに座ることを許可された者によるテクニカルファウルは、審判、コミッショナー、テーブルオフィシャルズ、相手チームに対して失礼な態度で接したり、体に触れたりする行為、またゲームの進行や運営に支障をもたらしたりする違反のことをいう。

36-2-3 テクニカルファウルを2個あるいはアンスポーツマンライクファウルを2個、もしくはテクニカルファウルとアンスポーツマンライクファウルを1個ずつ記録されたプレーヤーは失格・退場になる。

36-2-4 ヘッドコーチは以下の場合、失格・退場になる。

  • ヘッドコーチ自身のスポーツマンらしくない振る舞いによるテクニカルファウル「C」が2個記録された場合
  • チームベンチに座ることを許可された者のスポーツマンらしくない振る舞いによって、ヘッドコーチにテクニカルファウル「B」が3個記録された場合、あるいはそれらのテクニカルファウルとヘッドコーチ自身のテクニカルファウル「C」とを合わせて3個のファウルが記録された場合

36-2-5 プレーヤーもしくはヘッドコーチが、36-2-3あるいは36-2-4に則り失格・退場処分となる場合、テクニカルファウルによる罰則のみが与えられ、失格・退場による追加の罰則は与えられない。

36-3  罰則

36-3-1 テクニカルファウルが宣せられたときは、次のように記録をする:

  • プレーヤーの場合は、そのプレーヤーに1個のテクニカルファウルが記録され、チームファウルに数える
  • チームベンチに座ることを許可された者の場合は、ヘッドコーチに1個のテクニカルファウルが記録され、チームファウルに数えない

36-3-2 相手チームに1本のフリースローが与えられ、ゲームは次のように再開される:

  • フリースローは直ちに行う。フリースローの後、テクニカルファウルが宣せられたときにボールをコントロールしていたか、ボールが与えられることになっていたチームに、ゲームが止められたときにボールがあった場所から最も近いアウトオブバウンズでスローインが与えられる
  • フリースローは、他のファウルによって適用される罰則の順序にとらわれることなく、さらにすでに行われている罰則の途中であっても、それらに関わらず直ちに行う。テクニカルファウルのフリースローの後は、テクニカルファウルが宣せられたときにボールをコントロールしていたか、ボールが与えられることになっていたチームよって、テクニカルファウルの罰則のためにゲームが止められた時点からゲームを再開する
  • フィールドゴールや最後のフリースローが成功して得点が認められた場合は、エンドラインの任意の位置のアウトオブバウンズからスローインをしてゲームを再開する
  • どちらのチームにもボールのコントロールがない場合は、ジャンプボールシチュエーションとなる
  • 第1クォーターを始める場合は、センターサークルでのジャンプボールになる

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