試合に勝利するためには、相手を出し抜く技術が必要です。
たとえスピードがあっても、たとえ背が高くても、たとえ練習でシュートがたくさん決められても、相手を出し抜く技術が無くては試合ではなかなかうまくいきません。
正々堂々と勝負するのも良いですが、どんな勝負事でも勝つためには相手との駆け引きが必要なので、相手を出し抜くためのステップやフェイク(フェイント)を軽視する選手は非常にもったい無いと感じます。ひととおりの基礎が身に着いたと感じたら、ステップワークやフェイク(フェイント)などの駆け引きを覚えて、何度も練習してさらに技術に磨きをかけましょう。
相手を騙すのではなく、審判を騙す行為、つまり、ファウルされたように振舞って審判の誤審を誘うような行為のことも「フェイク(FAKE FOUL)」と言い、過度な場合や繰り返し行われた場合は、テクニカルファウルになるので注意しましょう。
駆け引き(ステップワークやフェイク)で重要な考え方
先に動く(先手必勝)
相手よりも先に動くことが、駆け引きにおいては最も大切です。先手必勝と心得てください。
緩急とクイックネス
次に大切なのは、緩急とクイックネスです。動きを急に止めたり、また急に動きだしたり、ゆっくり動いていたのに急に早く動き出したり、急に方向転換したり。人はある程度予測していても急な動きの変化には対応できません。
視野(ビジョン)
人は直感的に相手の視線で次の動きを判断します。もしくは、視線で次の行動を予測しようとします。つまり、視線を目標から外すだけで相手にとっては、予測が難しいということになります。視線を目標から外しながらも、周辺視野で目標を捉える視野の広さも重要になるでしょう。
想像力(イマジネーション)
相手が予測できない動きを表します。予測可能な単調な動きばかりでは、賢い相手との駆け引きには勝てません。バスケではあまりそう呼ばれませんが、サッカーでは想像力豊かな選手はファンタジスタと呼ばれ、予想もつかない動きやパスで相手を翻弄し、みるものを魅了します。
シュートに関するステップワークやフェイク
基本的には、なるべく確率の高いシュートを打つことが目的となります。よりオープンな味方選手へのパスもありますが、いずれにせよ効率良く得点するために、シュートレンジでのフェイクやフェイントはかなり重要なスキルです。
ポンプフェイク
シュートする構えを見せて、相手が少しでも反応したら反応した瞬間にシュートやパスやドリブルなど次の動作を行います。
シュート動作までいかなくても、体を深く沈みこませたり、あるいは「アイフェイク」(目線だけで行うフェイク)で、相手が一瞬でも反応したらその隙に、ドリブルで抜いたり、シュートしたり、パスをしたりすることが可能です。
特にゴール下付近では、相手が最もシュートを警戒するため、ポンプフェイクが非常に有効です。
ポンプフェイク後にステップイン(ステップスルー)、したりバックターン(リバースターン)したりして、ステップワークで相手を交わしてシュートすることを「アップ&アンダー」と呼びます。
- ティム・ダンカン(元NBA)
- アキーム・オラジュワン(元NBA)シグネチャームーブ「ドリームシェイク」が有名。
ドリームシェイクの動画
ステップバックシュート
ドリブルで抜きに行くと見せかけて、後ろにステップして相手との間隔(スペース)を作りシュートします。
ステップバックシュートが得意な選手に対しては、シュートチェック(コンテスト)が難しいため、ステップバックからの視線フェイクで、カウンタードライブも効果的になります。
- ステフィン・カリー(NBA)
- ジェームス・ハーデン(NBA)
ターンアラウンドシュート
右にターンすると見せかけて、左にターン。左にターンすると見せかけて右。さらにターンアラウンドシュートに見せかけて、ポンプフェイクからのステップイン(アップアンドアンダー)など、覚えれば強力な武器になります。
- コービー・ブライアント(元NBA)
- マイケル・ジョーダン(元NBA)
ユーロステップレイアップ
左右にステップして相手を翻弄します。同じリズムで行うのではなく、まず1歩目(フェイントとなる)をゆっくり大きく踏み込み、2歩目で急に鋭く大きく踏み込むように緩急をつけると、より相手ディフェンダーを騙すことができます。また、ボールの位置と動かす場所やスピードも大切です。
相手を騙してこそのステップなので、慣れてきたら少しずづ変化をつけて様々な動きやリズムで練習しよう。
パスで相手を出し抜く技術
基本的には、よりオープンな味方選手へパスを通すことが目的となりますが、オープンな味方選手へのパスを囮にして、自身がドリブルやシュートに持ち込むことを狙うこともあります。
パスフェイク
パスをする動作を途中でストップし、向きを変えて別のターゲットへのパスまたはドリブル、シュート。
ノールックパス(ルックアウェイパスを含む)
視線によるフェイントです。ターゲットを見ずにもしくは視線を逸らしてパスすることです。
味方ターゲットを見ない、もしくは視線を逸らすことで、味方ターゲット選手をよりオープンな状態にします。
- レブロン・ジェームス(NBA)
- マジック・ジョンソン(元NBA)「ノールックパス」といえば、この選手というほど有名。
ビハインドザバックパス
視線を外していても、パスモーションでパスコースを読まれてしまうことがあります。難易度は高いですが、ビハインドザバックパスはパスモーションによってパスコースを読まれることさえも防ぐことができます。
このパスが上手くなれば、相手ディフェンダーも警戒するため、このパスをフェイクに使い、レイアップに持ち込むこともできます。
- ラジョン・ロンド(NBA)この選手の「ビハインドザバックパス」をフェイクに使ったパスフェイクレイアップが特に有名。
- ジェイソン・ウィリアムス(元NBA)「エルボーパス」があまりにも有名。
ドリブルで相手を出し抜く技術
「クロスオーバー」や「レッグスルー」など、ドリブルで相手を抜くためのスキルは基本的にすべてフェイクやフェイントの要素を含みます。その中でも、緩急とステップワークに関する技術を紹介します。
緩急を使ったドリブル
動きの名前 | 動き方 |
---|---|
ヘジテーションドリブル(ロッカーモーション) | ドリブル中に一瞬止まるような動き |
フローティング、デロンステップ | ドリブル中に横にスライドするような動き |
スキップステップ | ドリブル中にスキップするような動き |
少しづつ動きは違いますがが、緩急を使い、相手ディフェンダーの腰を浮かせたり、ズレを作るために使います。
ドリブルジャブステップ
ポケットドリブルをしながら、進みたい方向と逆に一瞬踏み込むステップです。
大きいステップから小さいステップまで、様々なジャブステップがあるので、ワンパターンにならないように練習しよう。
ドリブルストップ
最後に最も重要なドリブルスキルを紹介します。
基本的な「スライドストップ」や「ジャンプストップ」ではなく、ストップの仕方で相手ディフェンダーとのズレを作ることができるプレーを集めました。最も「アンクルブレイク」が発生しやすいプレーです。
※ただし、怪我に繋がりやすいプレーなので無理せず練習しましょう。
ドリブルストップの種類 | 動き方 |
---|---|
パンチストップ(パンチドラッグ、ドラッグストップ) | ボールと同じ側の足でストップすると同時下がる動き。 |
リトリート | ボールと反対側の足でストップして、ドリブルしながら下がる動き |
アンダードラッグ | ボールと同じ側の足でストップすると同時にレッグスルーで切り返す動き |
インバーティドドラッグ | ボールと反対側の足でストップすると同時にレッグスルーで切り返す動き |
ビハインドストップ | ボールと同じ側の足でストップすると同時にビハインドドリブルで切り返す動き |