【速攻(ファストブレイク)】~各選手の役割と動きの基本~

※2021年12月18日:速攻に関する用語説明を追加。

ファストブレイクとは

攻守の入れ替わりの激しいバスケの試合の中で、ディフェンスからオフェンスに切り替わった最初の攻撃を「ファストブレイク」(プライマリーブレイク)といいます。

「ファストブレイク」が最初の攻撃なのに対して、 2番目の攻撃を「セカンダリーブレイク」といいます。さらに「アーリーオフェンス」(早い攻撃全般を表す。「速攻」のこと)から、「セットオフェンス」(あらかじめ準備された攻撃戦術を表す)へと続きます。明確な区分があるわけではありませんが、チームそれぞれの呼び方も含めて、ファストブレイクは、チームの「トランジションオフェンス」(攻守の切り替わりのときの攻撃を表す)を作る上でその土台ともいえる部分なので、しっかり自チームの考え方や戦術を覚える必要があります。

速攻は、英語でファストブレイク(fastbreak)といいます。Fastは「速い」という意味で、Breakは「壊す」という意味です。

つまり、「速く壊す」=「速攻」ということです。

主旨から外れますが、カタカナ表記を調べてみると、「ファーストブレーク」や「ファストブレーク」「ファーストブレイク」「ファストブレイク」と、表記にかなりブレがあったため、本記事では「ファストブレイク」と表記します。

ちなみにファストブレイクの後に続く攻撃をセカンダリーブレイク(secondary breakもしくはsecondary fastbreak)といい、「fast」(速い)と「first」(最初の)と発音が似ているため、「first」(1番目)に続く、「second」(2番目)と勘違いしやすいことや、「break」(ブレイク)と「brake」(ブレーキ)の発音が同じであることが影響して、上記のような表記ゆれが生じていると思われます。

速攻(ファストブレイク)の目的

バスケにおいて守りが一番手薄になるのは、オフェンスの最中です。オフェンスをしている間、自陣のゴール前にはほとんどの場合誰もいません。「ファストブレイク」では、この隙をついて得点を狙う、もしくは相手が守りを固める前に得点を狙います。

「ファストブレイク」はトランジションオフェンスでの最初の攻撃という考え方です。アウトナンバーからイージーシュートへと持ち込むことが目的となります。

速攻(ファストブレイク)の効果

得点を取る以外にも速攻(ファストブレイク)には次のような効果があります。

1.相手を疲労させる

素早いトランジションは当然相手にも素早い対応を強いることになります。

2.プレス対策

高い位置からのプレスディフェンスには、リスクがつきものです。速攻の意識が高いチームにはプレスを仕掛けづらくなります。

3.士気を高める

チームの攻撃的な意識が高まります。また、セットオフェンスに比べて自由でかっこいいプレーを選択することができるため、クリエイティブな気持ちが生まれます。

4.オフェンスリバウンドが取りやすい

身長の高いプレイヤーは走ることが苦手なことが多いため、トランジションが遅い傾向があります。相対的にオフェンスリバウンドが取りやすくなります。

速攻(ファストブレイク)の流れ

速攻(ファストブレイク)は数的優位「アウトナンバー」※(1対0、2対1、3対2)を作る攻撃です。味方がディフェンスリバウンドを獲得した瞬間、相手がディフェンスに戻るよりも早く、チーム全員が連動しながら攻め込みます。

攻撃側の人数が多いことを「アウトナンバー」と言います。それに対してディフェンス側の人数が多いことを「オーバーナンバー」と言い、さらにオフェンス側とディフェンス側の人数が同数の場合は「イーブンナンバー」もしくは「セイムナンバー」と言います。
「ファストブレイク」でチーム全員に必要な4つの共通意識
  1. まずリバウンドを取る
  2. コートを全力で走る
  3. ボールを動かす
  4. 素早く良いシュートを放つ

速攻するかしないかは、チームで決められている場合もあれば、ガードの判断に委ねられている場合もあれば、その場その場で個々の選手が判断する場合もあります。また、速攻を終え、別の攻撃方法に移行するタイミングの判断もチームによってさまざまです。(日頃のチーム練習で連携を高める部分)

一般的には、フロントコートにボールを進めたとき、数的優位があれば、アウトサイドからのシュートは狙わず、より得点できる可能性の高いシュートを狙って、ペイントエリアへと攻め込みます。もし数的優位がなかったとしても「セイムナンバー」(3対3)なら、トレーラーを使った「セカンダリーブレイク」を狙います。

1.ディフェンスリバウンドを取る、またはスチール

3.アップコートパス、またはボールダウン

4.ペイントエリアへアタック、またはセカンダリーブレイク

2.アウトレットパスを出す

速攻(ファストブレイク)のそれぞれの選手の役割と動きの基本

速攻やトランジションオフェンスの形を覚える前に、まずはオールコートで攻める際のそれぞれの役割を覚えよう。

ディフェンスリバウンドを獲得した選手の役割と動き

  • リバウンドを獲得し、ボールを保持したことを仲間に知らせる(オフェンススタートの合図)
  • ディフェンスの裏に走る選手がいたらその選手へのロングパスを狙う
  • ガードの選手に素早くボールを渡す
  • トレーラーとして、また、ガード選手のサポートをしながらフロントコートへ向かう
  • セカンダリーブレイクの際、先行する味方が生み出したスペースを利用してペイントエリアを攻める

アウトレットパスを受けるガードの選手の役割と動き

  • なるべくコート全体が見えるポジションで、リバウンダーからパスを受ける。
  • 前を走る選手へアップコートパス
  • パスもしくはドリブルでの素早いボールダウン ※センターサークルを通過するようにするとボールを奪われにくく、どちらのサイドからでも攻撃しやすくなる
  • 味方へのラストパス
  • パスアンドラン、またはトレーラーを活かすための、カッティング
  • 場合によっては速攻を中止する判断

先に走る選手またはアップコートパスを受けた選手の役割と動き

  • ペイントエリアに侵入し、シュートを狙う
  • 味方へのラストパス
  • ポストアップする
  • パスアンドラン ※これを疎かにするとせっかくのアウトナンバーの意味が無くなるので要注意!
  • トレーラーを含む味方を活かすための、カッティングスクリーンなどスペーシングの動き
  • 場合によっては速攻を中止する判断

ファストブレイクの動画

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