パスの目的と効果
パスの目的
主にポイントガードの選手がチームの司令塔となりパスの技術を駆使して試合の流れやスピードをコントールします。
チームのオフェンス戦術にとってパスは不可欠であり、パスのスピード、コントール、判断力、チームメイトとのタイミングの良し悪しが試合の勝敗を大きく左右する最も重要なスキルです。
3ポイントシュートを決めたり、かっこいいアシストを決めるために、日々の練習でシュートやドリブルスキルなど派手な技術を磨くことも重要ですが、チームとうまく噛み合っていないと感じているなら、「ミート」、「ピボット」、「スペーシング」、「声」などの地味な繋ぎの技術を磨くことがもっと重要です。
パスを上手くつなぐためには、時には厳しい狙いのパスや敵を欺くようなパスも必要ですが、ゴールを狙うアシストパス以外のパスは、そのときに一番オープンな選手へのパスを選択しましょう。
オープンな選手にパスを出すということは、パスを受けた選手が次の動作をしやすくなるだけでなく、ディフェンス側の選手を動かすことができるためです。ディフェンスの選手が動けば、新たなオープンな選手が生まれます。このパスを止めずに素早く繋ぎ続ければ、常にオフェンス側が主導権を持ってボールを支配することができるような有利な状況を作りだすことができます。
パスを貰えるようになるためには、何度も何度もオープンになる位置に動いてターゲットハンドと声を出すことを練習で繰り返しましょう。それでも全然ボールが貰えないといって腐ってしまったらダメです。あなたがオープンになるタイミングをチームメイトの意識に刷り込まれるまで繰り返すことで、チームメイトの意識の中にあなたがオープンになるときのパターンが記憶され、パスを貰える回数が少しづつ増えるはずです。
パスの効果
- 最もはやくボールを移動させる手段として:ドリブルよりも早くボールを運ぶことができる
- ディフェンスを動かす(疲れさせる):ディフェンスの移動を強いることで主導権を握る
- オープン(フリー)を作る:オープンな選手にボールを渡すことでシュートの確立が高まる
パスを繋ぐために最も大切な3つの意識
- 常に自分がボールを持った場合を想定して、次にパスする味方を探す意識
- 次にパスを受けるのは自分だという意識
- パスした直後はリターンパスをもらうつもりで動く意識
パスの受け方(パスを受ける側のポイント)
試合では止まってパスを貰うことはできないため、動きながらパスを貰うことを常に意識しながら練習することが上達への第一歩となります。
- ボールから目を離さない
- パスコースとタイミングを予測し、なるべくオープンになる(シール、バックドア、フラッシュ、Vカット、Lカットなど)
- ターゲットハンドを出す(片手を上げる、片手を横に出す、両手の親指を近づけて、パサーに向ける)
- ボールに対して早めに頭と手を向け、ボールに向かってステップする(ボールミート)
- 次の動作を考えたステップを踏み、強くキャッチする(ゴールに正対する、ジャンプストップ、トリプルスレット)
パスの方法(パスを出す側のポイント)
試合では止まっている選手にパスを出すことはほぼないので、動いている選手にパスを出すことを意識しながら練習することが上達への第一歩となります。
- すべてのパスは強く正確でなければならない
- ピボットやドリブルも使用し、なるべく安全なパスを選ぶ(ロングパスはなるべく避ける、オープンマンを探す)
- 味方が走りこむ先にパスを出す(スペースに出す)
- 適切なパスの種類を選択する(チェストパス、バンウンドパスなど)
- 適切なパスレーンを選択する(ディフェンダーの顔の横、足元)
- 判断は一瞬で行わなければならない
- 視野(ビジョン)と判断:スペースと味方と敵の位置の把握と予測と判断力
- ステップワーク:パス出しのタイミングに緩急を使い、相手とのズレ作る能力(0カウント、1カウント、2カウント、ピボット、フェイク)
- パススピード:小さいモーションでなるべく遠くまでストレートパスできる能力
- 思いやり:味方がシュートなど次の動作をしやすいパスを出す能力。味方が取りやすい場所に投げることはもちろん、できるだけオープンな選手にパスをしたり、オープンな状況を作りだすようなパス(ノールックパス、ルックアウェイパス、フェイクなど)をして相手の虚を突く