※2023年8月8日:「5対5 プレーコーリング・ガイドライン20230629版」に対応。「イリーガルシリンダーの判断」を追加
※2023年3月26日:「【『シリンダー』とは(2023年ルール対応版)】~バスケの超難解なルール~」へのリンクを追加。
※2022年4月10日:2022年4月施行の新ルールに対応。
コンタクトに対するファウルの考え方
バスケのルールでは、プレーに影響を及ぼす身体のコンタクトに対しては、その責任が重いと判定された選手側のファウルとなる。
コンタクトに対するファウルの3原則
「5対5 プレーコーリング・ガイドライン20230629版」より引用
コンタクトに対するファウルの成⽴基準として、以下の3原則がある。
(1)「コンタクトの事実(コンタクトが起こっているということ)」
(2)「コンタクトの責任(どちらかのプレーヤーにそのコンタクトの責任があるということ)」
リーガルガーディングポジション、シリンダー、etc.
(3)「コンタクトの影響(そのコンタクトが、コンタクトを受けた相⼿プレーヤーのプレーに影響を及ぼしていること)」
R(リズム)S(スピード)B(バランス)Q(クイックネス)への影響を考慮する。ただし、イリーガルな⼿・腕・肘(ハンドチェック)の判断はコンタクトの影響を考慮しない。
実際のコンタクトの責任判断
コンタクトには「リーガル」、「マージナル*」、「イリーガル」があり、審判はファウル成⽴基
準の 3 原則を基に、そのコンタクトを分析した上でファウルを宣するかどうかを判断する。
コンタクトには「リーガル」、「マージナル*」、「イリーガル」があり、審判はファウル成⽴基準の 3 原則を基に、そのコンタクトを分析した上でファウルを宣するかどうかを判断する。
*マージナルとはオフェンス、あるいはディフェンスが⾃然な動きをする中で、その動きの RSBQ に影響をもたらさないコンタクトであり、ファウルの判定を下すに⾄らないコンタクトの度合いのこと。
「5対5 プレーコーリング・ガイドライン20230629版」より引用
- オフェンス選手はコンタクトを避けようとしたか
- ディフェンス選手は相手より先に「リーガルガーディングポジション」を取ったか
- ディフェンス選手は相手より先に「リーガルガーディングポジション」を取ったか
- ディフェンス選手は腕を広げるなど体の一部を使って、脇を通る選手を妨げなかったか
- 「イリーガルシリンダー」の判断基準を考慮する
イリーガルシリンダーの判断
ボールを持っているオフェンス選手にはドリブル・ピボット、シュート、パスなどするために十分な空間が確保されなければなりません。
ディフェンス側に責任があるコンタクト
- ボールを持っているオフェンス選手がドリブル・ピボット、シュート、パスなどするための十分な空間(シリンダー)にディフェンス選手が侵入してイリーガルなコンタクトした場合
- ボールを持っていないオフェンス選手であってもスローインが始まる前に身体を密着させている場合
① オフェンスが NBP をしようとしている時にディフェンスがオフェンスのシリンダーの中に⼊ってイリーガルなコンタクトを起こした場合は、ディフェンスファウルを宣する。特にディフェンスが起こしたコンタクトの結果、アウトオブバウンズやトラベリングなどが起きた際は、最
「5対5 プレーコーリング・ガイドライン20230629版」より引用
初のイリーガルコンタクトに対してファウルを判定する必要がある。
② スローインが始まる前に、ボールを持っていないオフェンスに対してディフェンスが相⼿の体に、⾃⾝の体を密着させている場合は、審判は声を使ってその⾏為をやめさせ、⼗分な空間を確保させる。ただし、その⾏為をやめない場合はファウルを宣する。
オフェンス側に責任があるコンタクト
リーガルガーディングポジションを占めるディフェンス選手に対するイリーガルなコンタクトに対してはオフェンス側の責任となります。
ディフェンスが⾃⾝のシリンダーの中でリーガルにポジションを占めている状態で、オフェンスがディフェンスのシリンダーの中に⼊ってイリーガルなコンタクトを起こした場合は、オフェンスファウルを宣する
「5対5 プレーコーリング・ガイドライン20230629版」より引用
「リーガルガーディングポジション」とは
ボールを保持していない選手が、相手チームの選手と正対し、両足を普通に広げ、フロアにつけて静止している状態のこと。
(1)リーガルガーディングポジション(以下︓LGP)
① LGP とは、ディフェンスが、「相⼿に正対する」、「両⾜をフロアにつける」この2つの条件が満たされている状態である。
「5対5 プレーコーリング・ガイドライン20230629版」より引用
② LGP には、真上の空間の権利も含まれるため、まっすぐ上にシリンダー内で⼿や腕を上げたり真上にジャンプしたりしてもよい。
- ディフェンス選手が相手チームの選手と正対し、両足をフロアつけて静止しているところに、オフェンス選手がコンタクトした場合、オフェンス側のチャージングファウルとなる。
- 逆に横をすり抜けようとするオフェンス選手の動きを腕や脚などで妨げれば、ディフェンス選手のブロッキングファウルとなる。
JBA参考動画(ブロッキング・チャージング)
リーガルガーディングポジションの公式定義
“2022 バスケットボール競技規則” 「公益財団法人日本バスケットボール協会(JBA)」より
33-3 リーガルガーディングポジション
ディフェンスのプレーヤーは以下の2つの条件を満たしたとき、リーガルガーディングポジションを占めたとみなされる:
- 相手チームのプレーヤーに正対する
- 両足をフロアにつける
リーガルガーディングポジションには真上の空間も含まれるので、真上の空間の内側であればまっす
ぐ上に手や腕を上げたり真上にジャンプしてもよいが、シリンダーの外に外れてはならない。
「シリンダー」とは
選手が占有する空間の規定のこと。
コンタクトによるファウルがあった際、占有する空間(リーガルなシリンダー空間)に侵入した側に責任が生じる。
シリンダーの概念(“2022 バスケットボール競技規則” 「公益財団法人日本バスケットボール協会(JBA)」より)
33-1 シリンダーの概念
シリンダーとはフロア上のプレーヤーが占める架空の円筒内の空間をいう。シリンダーの大きさ、あるいはプレーヤーの両足の間隔はプレーヤーの身長やサイズによって異なる。シリンダーにはプレーヤーの真上の空間が含まれ、ディフェンスのプレーヤーとボールを持っていないオフェンスのプレーヤーのシリンダーの境界は以下の通り制限される:
- 正面は手のひらの位置まで
- 背面は尻の位置まで
- 側面は腕と脚の外側の位置まで
手や腕は、前腕と手がリーガルガーディングポジションの範囲で上がるように、腕を肘の位置で曲げた状態で前に伸ばすことができるが、足や膝の位置を超えてはならない。
オフェンスのプレーヤーが自身のシリンダーの範囲でノーマルバスケットボールプレーを試みているとき、ディフェンスのプレーヤーはボールを持っているオフェンスのプレーヤーのシリンダーの中に入って不当な触れ合いを起こしてはならない。ボールを持っているオフェンスのプレーヤーのシリンダーの境界は以下の通り制限される:
- 正面は両足、曲げられた膝、腰より上でボールを持っている腕の位置まで。
- 背面は尻の位置まで。
- 側面は肘と脚の外側の位置まで。
ボールを持っているオフェンスのプレーヤーには自身のシリンダーの範囲でノーマルバスケットボールプレーを行うための十分な空間が与えられなければならない。ノーマルバスケットボールプレーには、ドリブルの開始、ピボット、ショット、パスが含まれる。
オフェンスのプレーヤーはさらなる空間を確保するために、自身のシリンダーを超えて脚や腕を広げて、ディフェンスのプレーヤーに不当な触れ合いを起こしてはならない。
図5 シリンダーの概念
33-2 バーティカリティ(真上の空間の概念)
ゲーム中全てのプレーヤーは、相手チームのプレーヤーが占めていない位置であれば、コート上のどのような位置でも占めることができる。
この概念は、コート上にプレーヤーが占めた位置の権利およびそのプレーヤーが真上にジャンプする権利も含まれる。
自分のシリンダーから外れた空間で、すでに自分のシリンダーを占めている相手チームのプレーヤーと触れ合いを起こしたときは、自分のシリンダーから外れているプレーヤーにその触れ合いの責任がある。
ディフェンスのプレーヤーが、自分のシリンダー内でジャンプしたり手や腕を上げていて触れ合いが起こっても、そのプレーヤーに触れ合いの責任はなく、罰則が科されることはない。
オフェンスのプレーヤーは、コート上にいるときでもジャンプをして空中にいるときでも、リーガルガーディングポジションを占めているディフェンスのプレーヤーと次のような触れ合いを起こしてはならない:
- 腕で相手チームのプレーヤーを払いのけたりして、自分に有利な空間をつくること
- ショットの動作(アクトオブシューティング)中やショットをした後に、脚や腕を広げて触れ合いを起こすこと
ボールを持っているオフェンスのシリンダー内に、ディフェンスがプレッシャーなどをかける目的で無理にそのオフェンスのシリンダー内に入りコンタクトがおこした場合、ディフェンスがオフェンスのシリンダーの権利を妨げたと判断されるためディフェンスファウルが宣せられる。オフェンスのシリンダーをディフェンスが無理に侵害するとは、リーガルなオフェンスのシリンダーに対し、ディフェンスが距離をつめ、その上半身や腕をオフェンスのシリンダーに入れたり、オフェンスの軸足をディフェンスがまたぐことで胴体や下半身でオフェンスとコンタクトを起こすことを含む。
同様のケースで、オフェンス、ディフェンス共に、コンタクトによって影響がないにもかかわらずファウルをされたように見せかける行為についてはフェイクとして判断される。
ただし、ディフェンスのファウルが宣せられた後であっても、オフェンスが必要以上に肘などを振り回し相手にコンタクトを起こした場合はオフェンスファウル、もしくはアンスポーツマンライクファウル等が宣せられる。