ピボットとは
“ピボットとは、コート上でライブのボールを持ったプレーヤーが、片方の足(ピボットフット)はフロアとの接点を変えずに、もう片方の足で何回でもどの方向にでもステップを踏むことができることである。”
2021 バスケットボール競技規則 (公益)日本バスケットボール協会 2021 年4 月1 日施行 より引用
ピボットは、ボールを保持しているときの、オフェンスフットワークの技術です。難しい動きではないため、ミニバスなど比較的初期に習得すべき基礎的な技術ですが、最も素人と経験者の差が顕著な技術と言われています。
基礎的な技術ですが、相手(ディフェンダー)との接触(コンタクト)を伴う技術なので、技術を向上させるためには実戦で経験を積む必要があり、長くバスケをやっているプレーヤーでも意外とうまく使えていない人が多いと言えます。
初心者でなくとも、以下のような特徴がある選手はピボットを意識して練習してみてはどうでしょうか。
「トラベリングが多い選手」
「すぐにボールを奪われてしまう選手」
「ポストでボールを貰っても、シュートに至らない、もしくは止められてしまう選手」
ピボットの目的と効果
ピボットで大切なことは「ボールを奪われないこと」と「次のプレーに繋げること」です。
1.ボールを奪われにくくなる
基本的にボールを強く保持することと、身体を使って、上手くフットワーク(ピボット)を踏むことができれば、大幅にボールを奪われにくくなります。
2.次のプレーに繋げる
ピボットは次のプレーへの「繋ぎの技術」です。ピボットのうまい選手は、より良いシュートやパス、ドリブルに繋げることができるため、次のプレーの成功率や精度が向上します。
ピボットの基本的な構えと動きのコツ
構えはパワーポジションが基本ですが、フリーフット(ピボットフットと逆の足)を動かしやすくしておきます。
ピボットフット(軸足)を安定させ、フリーフットを動かすときに身体が上下しないように重心を整えましょう。
ピポットの動きのコツと注意点
- ターンするときは、ピボットフットのかかとを少し浮かし、重心を母指球あたりに置くように意識する
- フリーフット側の身体の側面および背面で相手とコンタクトする(ピボットフット側を抑えられると身動きが取れなくなるため)
- ボールは相手とは遠い側で保持する。顔の横、または腰の横あたりで強く保持するのが基本(ボールを奪われることを防ぐため)
- 相手の動きに応じて動くのではなく、こちらから相手の動きを誘うように動く(動きの駆け引きは先手必勝であるため)
- ボールとフリーフットは同時に動かす(ボールだけを動かすと、移動範囲が狭く、安全な場所にボールを運びづらいため)
- ボールはなるべく相手から見えにくい場所を通して大きく、素早く動かす(ボールを奪われることを防ぐため、相手の動きを誘うため)
- フリーフットを動かすときは、なるべくコートから浮かせすぎない。(浮かせすぎるとコンタクトのときにバランスを崩しやすい。また、移動時間もわずかに遅くなってしまうため)
ピボットターン
素早く、スムーズで力強い「ピボットターン」を覚えれば、次のプレーの成功確率を上げることに繋がります。特にインサイドでゴールに背を向けてプレーする際、必須の技術となります。
ピボットターンは大きく分けて、「フロントターン」と「バックターン(リバースターン)」の2種類があります。
フロントターン
身体の正面方向(フリーフットのつま先方向)に身体を回転させる動き。
相手に背を向けた状態からフロントターンで正面を向きたいときは、なるべく180°以上回転するとよいでしょう。そうしないとピボットフットが相手側になってしまうので、密着されると次の動きの選択肢が少なくなってしまいます。
バックターン(リバースターン)
身体の背面方向(フリーフットのかかと方向)に身体を回転させる動き。
相手に背を向けた状態からバックターン(リバースターン)するためには、フリーフットを動かすためのスペースが背後に必要です。(相手に背後から密着されていると背中側には回転できない)そのため、ボールミートやバンプで相手との距離を確保する必要があります。
逆にフリーフットがゴール側を通る動きのため、次の動きの選択肢が広がり、素早く動くことができます。
ピボットに関するルール
トラベリング
動いている状況では、ボールをキャッチした次の足がピボットフットとなります。基本的に軸足(ピボットフット)が地面から離れるか、動いてしまうとトラベリングとなります。ピボットフットは次のように決まります。
- 動きながらキャッチしたときは、キャッチした次の足がピボットフット
- 空中でキャッチしたときは、着地した足がピボットフット
- 両足で着地した場合は、次にコートから離れた足がフリーフットで、その逆足がピボットフット
5秒ルール
いくら上手にピボットができていても、相手(ディフェンダー)に1m以内の距離で守られている場合、5秒以内にパスなど次のプレーを行わないとバイオレーションとなります。