※2022年1月25日:「トップまたはトップオブザキー」を追加
スペーシングでは、いかに攻めやすい場所に立つか、そしてディフェンスが嫌がる場所に立つか、が目的になります。
バスケではボールを持っている時間よりも、ボールを持っていない時間のほうが圧倒的に長いため、いかにボールを持っていない時間にチームのために動けるかが勝敗を分けます。
スペーシングを嚙み砕く
スペーシングは難しいと思います。難しいと感じるのは次のどれでしょうか。
- そもそもどう動けばいいかわからない
- 試合では練習ではうまくいくのに試合ではうまくいかない
- 正しいと思う動きをしたのに叱られてしまう
- チームメイトが思った通りに動いてくれない
- どうもチームメイトとポジションが重なってしまう
- チームメイトのドライブの邪魔をしてしまう
難しいと感じるこれらのことに共通して言えることは、ゲームではほとんど同じシュチエーションが存在しないことだと思います。つまり、自分がどう動くかという問題ではなくて、相手や周りに合わせてどう動くかが求められているから難しいのだと思います。
スペーシングにおいては、日ごろ練習で時間をかけて培ったであろうドリブルスキルやシュート力などのボールを使う技術は一切役に立ちません。だから難しく考えて悩んでしまうのでしょう。
ただ、逆に言えばスペーシングにはほとんど技術は必要ありません。では、スペーシング能力の差がどこでつくかと考えてみると、「知識」の差、それから練習やこれまでの試合で培った「経験」と「自信」の差だと思います。(ただし、相手に脅威を与えるだけの最低限のオフェンス力は必要です。)だから、スペーシングをしっかりマスターすることで誰でも試合貢献度の高い選手になることが可能です。
本記事は主に試合経験が不足しているなどの理由で、試合での動き方に自信を無くしてしまっている選手に向けた記事です。
<知識その1>コートエリアの有利なポジション
ゴール下
ゴールに近いので得点に繋がりやすく、一番取りたい場所です。空いているなら躊躇せず積極的に狙っていきましょう。
特に、頭の上に常にフリースペースを持っていると言えるような身長の高い選手にゴール下でボールが渡った場合、得点される可能性が極めて高いので、ディフェンス側としては、ゴール下に入れない、もしくは3秒ルールでその選手がゴール下から離れるまで、パスが渡るのを徹底的に防ぐことしかできません。
ハイポストとローポスト(ミドルポスト)
ハイポストとローポスト(ミドルポスト)はゴールも狙えるし、パスもできるポジションです。
特に背の高い選手がこの位置でボールを持つと、得点に繋がりやすいオフェンス有利なポジションだけに、このポジションでフリーでボールをもらうのは難しいでしょう。また、ドライブする味方選手の邪魔になる場合もあるため、このポジションを生かすには、チームとしてのルールづくりが必要になります。
ウィングのポジション
オフェンスの起点になるポジションです。この位置は相手も警戒するポジションなので、ボールを貰うためにはディフェンスとの駆け引きが重要になります。
ドライブ、シュート、パスと何をするにしても、ゴールを目指す起点となる絶好のポジションなので、この位置でボールを持ったら積極的に攻めましょう。
コーナーとショートコーナー
この位置のメリットはディフェンダーから見えにくいことと、この位置からのドライブはカバーが難しくなることです。ただし、ボードが使いにくいことからシュートを決めづらいデメリットもあります。
スリーポイントラインは完全な半円ではないので、3ポイントシュートを打つ場合、コーナーの位置が一番ゴールに近くなります。
ゴールの裏のスペース(デッドロー)
この場所はシュートを決めづらいデメリットはありますが、ディフェンダーの目が届きにくいというメリットがあります。
バックドアからの得点を狙うこともできるし、得点できなくても、一旦このポジションにボールが入ると今度はディフェンダーはゴール正面にいるほかのオフェンス選手に目を向けづらくなります。そのためチャンスを作りやすくなります。
トップまたはトップオブザキー
両サイドどちらにもパスを供給できるためこの位置から攻撃がはじまることは多いですが、ディフェンスとしても偏りなくポジショニングできるため、両サイドどちらへもケアしやすいというデメリットがあります。
すべての選手の動きが無理なく視認できるポジションなので、ガードの選手がこの位置にポジショニングすると特に効果的です。
<知識その2>パスをもらう動き
ボールマンに近づく
基本的にはボールマンとは5~6mの距離感を保つことが良いスペーシングと言われていますが、以下のように例外があります。
- ピック&ロールなどのスクリーンプレー
- ドリブルウィーブオフェンスなどのハンドオフパス
- ハンドオフパスと見せかけてゴール方向にカットするドリブルアットのプレー
ボールマンから離れる
ボールマンから離れるときは基本的にはゴール方向に向かいます。
ボールマン自身がドライブをしようとしているケースや、ゴール方向にスペースが無く、しつこくディナイされているケースなど、ボールマンから離れるスペーシングが必要になります。
その場合はサークルルールなどに従って、なるべくパスが受けられる場所へ動く必要がありますが、ゴール方向以外の方向に5~6mの距離以上にボールマンから離れる場合はボールマンとの間を他の選手が埋めなければパスの選択肢が減ってしまうのでチームが連携してスペースを作る必要があります。
ディフェンスの裏を狙う
特にディフェンスのディナイが厳しいときは、ディフェンスの裏を狙ってカットしましょう。
仮にボールが貰えなくてもボールマンが有利になるようにディフェンダーを引き連れてスペースを作る動きになります。ディフェンダーに抑えられたら、押し込んでから戻ればボールを貰うことができます。
<知識その3> 味方のドライブに合わせる
サークルルール
味方選手がゴールに向かってドライブしたときに、それに合わせて周りの選手が円を描くようにフロントコートを移動する動きを表します。
ドライブのスペースを空けながら、パスを貰える位置に移動する動きですが、考え方がシンプルなのでドライブ合わせでこの動きを教えるチームは多いと思います。
5つのD
5つのDとは以下の5つのことです。上記のサークルルールと合わせてこちらも基本的な動きなので知っておくべきでしょう。
Drive【ドライブ】 | ボールマンがゴールに向かってドリブルで攻めること |
Drift【ドリフト】 | ボールマンから離れる動き(キックアウトを貰う動き、スペースを空ける動き) |
Dive【ダイブ】 | ゴールに向かって飛び込む動き(マークマンが剥がれたスペースを狙う動き) |
Drag【ドラッグ】 | ボールマンが元いた場所を埋める動き(キックアウトを貰う動き、スペースを空ける動き) |
Defense【ディフェンス】 | セーフティーの動き(相手のカウンターに備える動き) |
<知識その4>スペースを作る戦術
ピック&ロール
ピック&ロールは簡単に言うとスクリーンを使ってスペースを作り得点を狙う戦術です。
ピック&ロールはオフェンス側のスクリーン(ピック)で始まります。そのためオフェンス側が、先手を取ってパターンを決めて攻めやすく、成功しやすい戦術といえます。ディフェンス側にとっては対応が後手に回ってしまうので守りにくく、今最も流行りの戦術です。
リードアンドリアクト
上記のサークルルールの動きも含みますが、チームオフェンスを体系的に優先順位をつけてまとめた戦術理論です。時間をかけて学ぶ目的を持った戦術なので、すべてを理解する必要はないと思いますが、興味がある方は下記、三原先生のページでしっかり勉強しておきましょう。
ドリブルドライブモーション
まさにドライブの動きに対する合わせの戦術理論です。どのようにレイアップに持っていくか、ドライブするときのギャップについて、合わせについての戦術です。
パッシング(モーション)オフェンス
パス主体で攻める方法論です。特別にドリブルや1対1がうまい選手がいなくても勝利できるチーム戦術です。オフボールの動きを覚えるために、ドリブル禁止のゲームなどで練習しますが、個人のスキルに頼らずチームの総合力を高めるためにどのチームも練習する戦術です。