※2024年5月25日:大きな修正はありませんが、「2024バスケットボール競技規則」および「JBAプレーコーリング・ガイドライン(20230629)」との整合確認を行いました。
※2024年3月9日:L2Mのスローイン時のディフェンス側コンタクトはすべてアンスポではなくなりました。(削除し忘れを修正)
「アンスポーツマンライクファウル」とは
通称:アンスポ(旧称:インテンショナルファウル)
ボールに対するプレーでないコンタクト。正当なバスケットボールのプレーとは認められないコンタクトや過度なコンタクト。
- 相手のユニフォームを引っ張る
- 首から上へのコンタクト
- 肘や足を使った過度なコンタクト
- ボールに対してのプレーでない不必要なファウル
- 空中にいる選手への危険なコンタクト
- ワンマン速攻での後ろや横からのコンタクト(クリアパス・シチュエーション)
第4 クォーターもしくは各オーバータイム残り 2 分の間で、スローインをする前のディフェンス側のコンタクト(ラスト2ミニッツシチュエーション)
- フリースローなどの罰則だけでなく、累積2回で失格・退場となる。
- サッカーで言うところのイエローカード相当。
- NBAルールではフレグラントファウル(1)相当。
- Bリーグは2022-23シーズンから新ルールが適用されています。
「アンスポーツマンライクファウル」の罰則
ファウルしたプレーヤーにスローインが与えられ、そのチームのフロントコートのスローインラインからのスローインで再開する。
- フリースローはシュート動作中のファウルでなくても2本与えられる。シュート動作中のファウルの場合は、得点+ワンスローが与えられる。
- テクニカルファウルを2個あるいはアンスポーツマンライクファウルを2個、もしくはテクニカルファウルとアンスポーツマンライクファウルを1個ずつ記録されたプレーヤーは失格・退場になる。
「アンスポーツマンライク」のクライテリア(判定基準)
(1)基本的な考え⽅
“JBA プレーコーリング・ガイドライン”より抜粋
① アンスポーツマンライクファウル(以下︓UF)には、4つのクライテリア(判定基準)があり、それぞれ、「C1」、「C2」、「C3」、「C4」と表記される。
② ゲーム中全ての時間帯(ゲームの終盤また得点差に関係になく)において、⼀貫性を持ってクライテリアを適⽤する。
③ アクション(起きた現象)のみで判定を⾏い、それが故意であるかどうかの意図はクライテリアを適⽤する上で考慮しない。
④ 通常のバスケットボールのプレーの結果起きたファウルも⼀部UF のクライテリアに含まれるため、全てが悪質なファウルということではない。
クライテリア1(C1)
ボールに対するプレーではなく、かつ、正当なバスケットボールのプレーとは認められないコンタクト
“JBA プレーコーリング・ガイドライン”より抜粋
- オフボールのプレーヤーに対してや、コンタクトがあった体の部分(ポイントオブコンタクト)が単にボールから離れていただけではC1 は適⽤されず、そのプレーが正当なバスケットボールのプレーであったかどうかを含めて判断する。
- ボールにプレーせず、相⼿の⾝体の⼀部を掴み続ける、抱える、捕まえる、不必要に⼿・腕で押す、肘・脚を不必要に広げるなどの正当なバスケットボールのプレーとは認められない⾏為。
- 正当なバスケットボールのプレーの結果、瞬間的に相⼿を掴むことはホールディングのパーソナルファウルを適⽤する。
- 正当なバスケットボールのプレーの結果、脚がイリーガルにコンタクトすることはブロッキングのパーソナルファウルを適⽤する。
- ユニフォームを掴んで引っ張る⾏為。
- 正当なバスケットボールのプレーの結果、ユニフォームに⼿が引っかかったり、瞬間的に掴んだりすることはホールディングのパーソナルファウルを適⽤する。
- ボールのチームコントロールに関わらずオフェンスまたはディフェンスに適⽤される。
クライテリア2(C2)
プレーヤーがボールや相⼿に正当にプレーしようと努⼒していたとしても、過度に激しいコンタクト(エクセシブハードコンタクト)
“JBA プレーコーリング・ガイドライン”より抜粋
- 正当なバスケットボールのプレーをした場合でも過度に激しいコンタクトに対しては C2 を適⽤する。
- ⼿・腕・肘・膝・脚などによる⾸から上に対しての過度に激しいコンタクトに対しては故意かどうかに関わらず、そのコンタクトの度合いと程度を判断し C2 を適⽤する。
- シリンダーを超えた肘を⽔平に振ったり脚などを過度に使ったりするコンタクトで、相⼿に対して負傷を⽣じさせる可能性がある⾏為と判断したもの。
- 空中にいるプレーヤーに対しての過度に激しいコンタクト。
- 笛が鳴ったあとや、ファウルの判定があったにも関わらず相⼿に続けて別の過度に激しいコンタクトを起こす。
- オフェンスのパンプ・フェイクなどで空中に⾶んでしまった結果、いずれにせよファウルになると確信したあとで必要以上に相⼿を掴んだり、腕を振り下ろしたり、激しく叩いたりすること。
- 危険なコンタクトで「ワインドアップ・インパクト・フォロースルー」の要素をふまえ、⼤きなインパクトがあると判断できるもの、または、「ワインドアップとインパクト」、「インパクトとフォロースルー」の 2 要素を伴うと判断できるもの。
- ワインドアップ︓⼿・腕・体などを振りかぶったり助⾛をつけたりして勢いよく相⼿に向かっていく動作。
- インパクト︓相⼿に与える⼤きな衝撃や⼤きな影響を及ぼす過度に激しいコンタクト。
- フォロースルー︓⼿・腕・体などを相⼿にコンタクトさせたあと、最後までその動作を⽌めることなく振り切る動作。
- ボールのチームコントロールに関わらずオフェンスまたはディフェンスに適⽤される
クライテリア3(C3)
オフェンスが進⾏する中で、その進⾏を妨げることを⽬的としたディフェンスによる必要のないコンタクト
“JBA プレーコーリング・ガイドライン”より抜粋
- このクライテリアはオフェンスがショットの動作に⼊るまで適⽤される。
- ディフェンスをしようとする努⼒をせず、オフェンスがボールを進めることを⽌めることだけを⽬的とした不要なコンタクト。
- リーガルガーディングポジション(以下︓LGP)から外れ、ボールに正当にプレーしていないコンタクト。
- LGP から正当にディフェンスをした結果のファウルはパーソナルファウルを適⽤する。
- C3 が適⽤される場合であっても、オフェンスが既にショットの動作に⼊っていた場合はパーソナルファウルを適⽤する。
- ボールのチームコントロールをしているオフェンスに対してディフェンスが起こしたコンタクトのみに適⽤される。
クライテリア4(C4)
相⼿チームのバスケットに向かって進⾏しているプレーヤーとそのバスケットの間に、進⾏しているプレーヤーの相⼿プレーヤーが全くいない状況で、進⾏しているプレーヤーの後ろあるいは横から起こす不当なコンタクト
“JBA プレーコーリング・ガイドライン”より抜粋
- このクライテリアはオフェンスがショットの動作に⼊るまで適⽤される。
- 通常のバスケットボールのプレーの結果起きたファウルであっても以下③の条件に当てはまる場合は C4 が適⽤される。
- 速攻などで相⼿チームのバスケットに向かって進⾏しており、進⾏しているプレーヤーとバスケットの間に相⼿プレーヤーが全くいないことから得点につながると審判が判断した状況で、後ろまたは横からコンタクトが起き、以下のいずれかの状況に該当する場合は C4 を適⽤する。
- 進⾏しているプレーヤーがボールをコントロールしている場合。
- パスミスやパスカットの直後など、ボールのチームコントロールがまだ変わっていない場合であっても、相⼿チームのバスケットに向かって進⾏しているプレーヤーがボールのコントロールを得ることができ、得点につながると審判によって判断された場合。
- 速攻などで相⼿チームのバスケットに向かって進⾏しているプレーヤーに対してパスが出され、ファウルがなければボールのコントロールを得ることができ、得点につながると審判によって判断された場合。(オープン・パス)
- 速攻などで相⼿チームのバスケットに進⾏しているチームがスピードを落として進⾏したり、フロントコートでセットプレーなどに展開を変えたりするなどして、速攻は終わったと審判が判断したときは、C4 は適⽤されない。
- C4 が適⽤される場合であっても、オフェンスが既にショットの動作に⼊っていた場合はパーソナルファウルを適⽤する。
- ボールのチームコントロールに関わらずオフェンスまたはディフェンスに適⽤される。
アンスポーツマンライクファウルの動画
2022年4月施行の公式ルールの変更
主にクリアパスシチュエーションの解説が追加された感じですね。
37-13
条⽂︓オフェンスが進⾏する中で、その進⾏を妨げることを目的としたディフェンスによるボールと関係のない位置での必要のない触れ合いには、オフェンスのプレーヤーがショットの動作(アクト・オブ・シューティング)を始めるまで、アンスポーツマンライクファウルを宣せられる。ボールに対するプレーではなく、かつ、正当なバスケットボールのプレーとは認められない相手プレーヤーとの触れ合いや、オフェンスが進⾏する中でその進⾏を妨げることを目的としたディフェンスのプレーヤーによる必要のない触れ合いのようなアンスポーツマンライクファウルのその他の判定基準はゲーム中いつでもアンスポーツマンライクファウルを宣せられる。
37-14
例︓ A1 はバックコートから、フロントコートにいて自身とバスケットとの間に相手プレーヤーが誰もおらず、バスケットへのクリアパスがある A2 にボールをパスした。A2 は空中にジャンプし、ボールをキャッチする前に、B1 に両手で胴体を押された。
解説︓ オフェンスの進⾏を妨げる目的で直接ボールにプレーせずに起こした触れ合いであり、B1 のアンスポーツマンライクファウルである。
37-15
例︓ A1 はバックコートから、フロントコートにいて自身とバスケットとの間に相手プレーヤーが誰もおらず、バスケットへのクリアパスがある A2 にボールをパスした。B1 はボールが B1 より後ろでまだ空中にあるときに、A2 に両手で不当にコンタクトを起こした。
解説︓ オフェンスの進⾏を妨げる目的で直接ボールにプレーせずに起こした触れ合いであり、B1 のアンスポーツマンライクファウルである。
「2022バスケットボール競技規則解説(インタープリテーション)本文 未反映分 新旧対照表」より引用
アンスポーツマンライクファウルの公式ルール(「2024バスケットボール競技規則」準拠)
“2024 バスケットボール競技規則” 「公益財団法人日本バスケットボール協会(JBA)」より引用
第37 条 アンスポーツマンライクファウル (UF:Unsportsmanlike foul)
37-1 定義
37-1-1 アンスポーツマンライクファウルは、プレーヤーによる体の触れ合いを伴うファウルであり、以下の要素をもとに審判が判断する:
- ボールに対するプレーではなく、かつ、正当なバスケットボールのプレーとは認められない相手プレーヤーとの触れ合い
- プレーヤーがボールや相手プレーヤーに正当にプレーしようと努力していたとしても、過度に激しい触れ合い(エクセシブハードコンタクト)
「相手プレーヤーへの正当なプレー」とはボールを持っていないオフェンスのプレーヤーに
対するディフェンスなど、正当なバスケットボールのプレーを指す。
- オフェンスが進行する中で、その進行を妨げることを目的としたディフェンスのプレーヤーによる必要のない触れ合い。これは、オフェンスのプレーヤーがショットの動作(アウトオブシューティング)に入るまで適用される。
- 以下のいずれかの状況で、相手チームのバスケットに向かって進行しているプレーヤーとそのバス
ケットとの間に、進行しているプレーヤーの相手プレーヤーが全くいない状況で、進行しているプレーヤーの後ろあるいは横から起こす不当な触れ合い。これはオフェンスのプレーヤーがショットの動作(アクトオブシューティング)に入るまで適用される。- 進行しているプレーヤーがボールをコントロールしている状況、もしくは
- 進行しているプレーヤーがボールをコントロールしようとしている状況、もしくは
- 進行しているプレーヤーへのパスのボールが放たれている状況。
パスされ空中にあるボールは、ファウルがなければ、進行しているプレーヤーによってコ
ントロールされることが想定できる場合。
37-1-2 審判は、プレーヤーの起こしたアクションのみを基準として、ゲームをとおして一貫性を持ってアンスポーツマンライクファウルの判断を行わなければならない。
37-2 罰則
37-2-1 ファウルをしたプレーヤーに、1個のアンスポーツマンライクファウルが記録される。
37-2-2 ファウルをされたプレーヤーにフリースローが与えられたあと:
- そのチームのフロントコートのスローインラインからのスローインで再開する
- 第1クォーターをはじめる場合は、センターサークルでのジャンプボールになる
フリースローは以下のとおり与えられる:
- ショットの動作(アクトオブシューティング)中ではないプレーヤーがファウルをされたとき:2本のフリースロー
- ショットの動作(アクトトオブシューティング)中のプレーヤーがファウルをされ、そのショットが成功したとき:得点が認められ、さらに1本のフリースロー
- ショットの動作(アクトオブシューティング)中のプレーヤーがファウルをされ、そのショットが不成功だったとき:2本または3本のフリースロー
37-2-3 テクニカルファウルを2個あるいはアンスポーツマンライクファウルを2個、もしくはテクニカルファウルとアンスポーツマンライクファウルを1個ずつ記録されたプレーヤーは失格・退場(ゲームディスクォリフィケーション)になる。
37-2-4 プレーヤーが37-2-3に則り失格・退場になる場合、アンスポーツマンライクファウルによる罰則のみが与えられ、失格・退場による追加の罰則は与えられない。